二人の共通点は、「体験型消費」

 さて、ここで、私たちの幸福度とお金は、どんな関係にあるのか考えてみましょう。

 以前の記事「貯蓄減っても後悔なし 脳科学的・幸せなお金の使い方」で、脳神経外科医の菅原道仁さんは「体験型消費をすることは、お金の生きる使い道」だと指摘しています。例えば、旅行やライブ、ゴルフレッスン、英会話スクールなどの体験型消費を選び、「自分でどのようになりたいかといったストーリーを描いて実行すること」で、満足度の高いお金の使い方になるのだと菅原さんは言います。

 今回登場した二人は、趣味を楽しみながら日々を過ごしていました。二人の趣味である舞台やライブは、まさに「体験型消費」です。

 「意外かもしれませんが、ムダ遣いか否かを判断するのに、金額はほとんど関係ありません。たとえ安価なモノでも、自分にとって必要がなければムダだし、何年かのローンを組んだとしても、ストーリーを描いていたなら『いい買い物をした』と思えるでしょう」というアドバイスもありました。

 特に、後半で登場した貯蓄400万円のTさんは、将来のお金として、小規模共済や個人型確定拠出年金など、具体的な目的を持って貯めているのが特徴的です。お金を使うだけでなく、お金を貯める際にも具体的な目的やストーリーを持つことが、幸福度を左右する一つのポイントといえそうです。

 貯蓄額をやみくもに増やそうとすると、やりたいこともできず、疲弊していくでしょう。目的を持ち、ストーリーを描きながら、お金を使い、そして貯めていきたいですね。

「体験型消費」で、幸福感を得やすい使い方をしている二人でした (C)PIXTA
「体験型消費」で、幸福感を得やすい使い方をしている二人でした (C)PIXTA

文/西山美紀 写真/PIXTA