なぜドラえもんは、のび太の元へやってきたのか

 そもそもドラえもんは、「将来ジャイ子と結婚した揚げ句、事業に失敗して多額の借金を背負ってしまうのび太のひどい運命」を変えるため、未来の世界から送り込まれたお世話ロボットでした。これは、「先祖がもうちょっとまともなら、子孫である僕たちの生活はもっとマシになるだろう」と考えたのび太の孫の孫、セワシのアイデア。つまりジャイ子は「のび太の悲惨な未来」の象徴だったのです。

 もう一つは、マンガ家になる夢があるということ。ジャイ子は「クリスチーネ剛田」というペンネームを名乗り、たびたび作品を発表しています。

 ジャイ子がマンガ家志望だという話が原作で最初に描かれたとき、ジャイ子の作品は町内の子どもたちに酷評されるような出来でした。しかし、彼女は登場ごとにメキメキと実力を上げ、最終的にはマンガ読みのエキスパートであるのび太をうならせ、商業マンガ誌の編集長からも才能を認められます。

 その後も、志を同じくする茂手(もて)もて夫という少年と同人活動で切磋琢磨(せっさたくま)したり、出版社にせっせと持ち込みをしているとおぼしき描写があったりと、ジャイ子は夢に向かって努力を続けていくのです。