自分自身でやる気スイッチを押すことができない
2000年代後半になっても、彼らを取り巻く状況は好転しませんでした。リーマンショック(2008年)以降の不景気で給料は上がらず、結婚は遠く、仮に結婚できたとしても、親世代が当たり前に実現していた「父親のシングルインカム+専業主婦+子ども二人+持ち家」なんて、夢のまた夢。馬車馬のように働いても都内にマンション一つ、車1台買えないのです。劣等感は募るばかり……。
ここでも「のび太の生き方肯定論」だけが、彼らの救いでした。ガツガツしないで昼寝でもして待っていれば、きっといつかいいことがある。いわば「精神的隠居状態」に入っているのが、彼らなのです。
元来彼らは、のび太のように「やればできる子」なのですが、自分自身でやる気スイッチを押すことができません。あなたがドラえもん、もしくはしずかちゃんとなって、彼らのやる気スイッチを押してあげてください。それが、「のび太系男子」を操縦……否、うまくコミュニケーションを取るコツだったりするのです。
文/稲田豊史 イラスト/田中小百合 写真/PIXTA
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