現代の働く女性と重なる部分がたくさんある
いかがでしたか? 当たっている・当たっていないはさておき、3人がそれぞれ違った道を歩んでいることはお分かりいただけたのではないでしょうか。
これから本連載では3人のパーソナリティーをさらに掘り下げ、現代のアラサー女子に当てはめて分析することで、アラサー女子が置かれている現実的な苦難や、そこから脱するためのヒントを考えていこうと思います。3人は昭和の昔につくられたキャラクターではありますが、むしろ平成の終わりを生きるアラサー女子の生き方に重なる部分も、たくさんあるのです。
この3人が登場する「ドラえもん」という作品の誕生は、なんと50年近くも前の1969年です。いまや年齢・性別問わず、ほとんどの日本人に親しみのある国民的作品になりました。残業中に「どこでもドアが欲しいなあ……」とつぶやけば、「きっと疲れていて、どこか遠くに行きたいんだな」と心配されるでしょうし、「新入社員の彼、のび太君みたいだよね」と言えば、たいていの人が「ああ、あの優しそうなメガネ君かな」と分かってくれるでしょう。
なお、現在のアラサー女子が公私ともに関わることの多い3、40代の男性は、「ドラえもん」のマンガ連載が最も勢いのある頃に少年時代を過ごし、同作に心酔した「ドラえもん世代」です。彼らは多感な時期に「ドラえもん」という作品に触れ、ある偏った価値観を育み、そのまま「ちょっと困った」大人になりました。それについて考察したのが、拙著「ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代」という本です。
というわけで、次回は3タイプの分析はいったん脇に置き、この「ちょっと困った」文化系男子――名付けて「のび太系男子」の生態をお届けします。
文/稲田豊史 イラスト/田中小百合 写真/PIXTA
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