語れば語るほど、奥底にある無意識があらわになる恐怖

 男性たちはなぜか結婚に対して「他人事感」が半端なく、なぜか「謎の余裕」に満ちあふれている……。それは女性たちの発言と比較しても明らかでした。

男の「謎の余裕」と「他人事感」。一体どこから生まれてくるの (C)PIXTA
男の「謎の余裕」と「他人事感」。一体どこから生まれてくるの (C)PIXTA

 この座談会、それぞれ年齢を見ると男性が「Aさん=37歳・Bさん=37歳・Cさん=37歳・Dさん=31歳」で、女性は「Aさん=31歳・Bさん=34歳・Cさん=34歳・Dさん=29歳」と、全体的に女性のほうが若い構成になっています。

 しかし、発言を比較してみると「本当に男性のほうが年齢層高めなのか?」と疑いたくなってきます。例えば「周囲からのプレッシャーやそれに伴う焦り」に関する質問に対して、男女の回答はこのようになっていました。

【女性陣の、周囲からのプレッシャーやそれに伴う焦り】
Aさん→ 周りの人は気を使ってくれているが、自分で自分にプレッシャーをかけている
Bさん→ 25歳の時に彼氏と別れたら、母と泣きながらケンカになった
Cさん→ 「そんなに結婚してほしいならそう思える男性を連れてきて」と言って以来、何も言われなくなった
Dさん→ 「自分は人を好きになれない病気なのかな?」と思ってしまうことがある
【男性陣、周囲からのプレッシャーやそれに伴う焦り】
Aさん→ 親から「いつ結婚するのよ!」と言われるが、焦りはない
Bさん→ プレッシャーが全然ないので、想像がつかない
Cさん→ うちも全然プレッシャーはない
Dさん→ 親は気にしているかもしれないが、焦りはない

 いかがでしょう。これはほとんど〈原文ママ〉です。もちろんこれがすべての男女を代表する意見ではありませんが、それでもやはり、独身者に対する「結婚しろ」プレッシャーのかかり方も、その受け止め方のリアリティーも、男女でかなり差があるのは疑いようのない事実です(男性のほうが平均年齢高い状況でさえこれですから……)。

 私も30歳の時、6年交際した恋人と結婚を巡るすれ違いで別れた経験がありますが、恋人が妊娠のリミットや家族からのプレッシャーにさいなまれて焦りを抱いていたことなどつゆ知らず、自分は「仕事頑張るぞ」「一人前になったら結婚するぞ」などとのんきに構えており、そんな私の態度に彼女が愛想を尽かしたというのが別れの原因でした。

男性は「結婚」に対してのんきに構えてるのかも

 思うにわれわれ男は、取りあえず仕事だけ頑張っていれば社会から許されるような空気感があり妊娠のリミットを意識させられる瞬間などほとんどなく(本当は男性側も加齢に伴って妊娠の確率が低下していくのに、それを知識として知らないまま生きている)、また家族や周囲もさほどプレッシャーをかけてこず、たとえかけられても「いい人が見つかればね」などとのんきにかわせてしまう環境に生きている。それが結婚に対する「他人事感」や「謎の余裕」につながっているのではないか……。

 冒頭で私は、男性の本音を「無自覚ににじみ出てしまっていた男という生き物の実態」と定義しました。それは、男性たちが思ったことを語れば語るほど、奥底にある無意識や、結婚に関する「考えてなさ」が露呈してしまう、という意味です。これは考えてみると恐ろしいことですよね……。

 この前編では男性側の話がメインになってしまいましたが、後編(7月13日公開予定)では女性たちの発言もいろいろ紹介しながら、引き続き男女の違いについて考えていきたいと思います。

文/清田隆之(桃山商事) 写真/PIXTA