選択肢が狭まっていき、ついに元彼を思い出す

 明美さんは、せっかく婚活パーティーに参加しても、10歳以上も年下の商社マン男性とずっと一緒にいたこともあります。そのあげく、「この人はモテそうだし、結婚はすぐに考えてくれなさそう」という理由でアプローチをしなかったり。明美さん、パーティーの趣旨を間違えていませんか?

 「いえ、43歳の会計士さんとも話しましたよ。物腰が柔らかくて見た目も若い人でした。でも、最初のデートでいきなり告白されたので『気持ちは前向きです。何度か一緒に遊びに行きませんか』と答えたんです。そうしたら、『そうか~、縁がなかったか。じゃあ、これからも友だちってことで』と言われてしまいました。私は前向きに考えたいって言っているのに。人の話をちゃんと聞けよ。こいつ、バカじゃないの? と思いましたね」

 思い出しながら怒りで言葉遣いが荒くなる明美さん。その会計士の男性はパーティー会場でも複数の女性からアプローチされており、明美さんの他にもデートの予定が入っていたようです。だからといって遊び人だとは限りませんが、かなり強気になっているのは確かです。即答をしない明美さんを待つ気持ちにはなれなかったということですね。30代・40代でちゃんと稼いでいて会話能力も見た目も問題がない独身男女を並べて比べてしまうと、男性のほうが「選べる立場」にあることは否めないのです。

 なお、そのパーティーには50代の男性も多数参加しており、美人の明美さんにはアプローチをしてくれた人も少なくありませんでした。しかし、明美さんは「年寄りは無理」と一蹴します。明美さんの価値観からすると、50代の男性は完全に恋愛の対象外。かといって、30代40代の独身男性には手が届きにくい。わかりやすいミスマッチが生じているのですね。

 そこで明美さんは、もう一度原点に立ち返っています。26歳のときに別れた元恋人の新一さんとよりを戻すことです。

 「先日、数年ぶりに電話が通じて1時間ぐらい話すことができました。彼もまだ独身で、好きな人はいないみたいです。すぐにでも九州に帰りたいと思いました。でも、重すぎますよね。グッと堪えて『お互いの中間地点で久しぶりに会おうよ。大阪あたりはどう?』と提案したんです。もし彼と結婚できるなら、会社を辞めて地元に戻るつもりです。広告の仕事はほとんどないけれど、県庁で中途採用をしていることも確認しました。採用試験まであと数カ月しかないのですが、勉強もやる気満々です。その後、彼はなかなか電話に出てくれないんですけど……」

 不安を抱えながらも晴れやかな表情を見せてくれる明美さん。10年の歳月を経て、「最高の恋人」であった新一さんに愛情を捧げることに決めたようです。心を定めてしまえばすっきりするものですよね。もし報われなかったとしても、明美さんの人生に悔いは残らない気がします。

文/大宮冬洋 写真/鈴木愛子

この連載は、今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました!
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