自分が社外でも通用するのか知りたい

 仕事優先で走り続けてきた章子さんは、29歳ごろになると複数の会社や社内の他部署から「うちに来てくれないか」と勧誘を受けるようになります。いつの間にか優秀な人材に育っていたのです。章子さんは、業務内容には満足しつつも「自分にはどれぐらいの価値があるのか。社外でも通用するのか」を知りたい気持ちが高まりました。

 「迷いに迷いましたが、今の会社で最初に上司になった人から『転職するにあたって不安なことは全部言ってくれ。何でも正直に答える。もしうちに来てくれたら、成長する機会を与えてあげられる自信がある』と言ってもらったのが転職の決め手になりました。不安よりも好奇心が勝った、とも言えます」

 章子さんは30歳前後をキャリアの過渡期だと語ります。実際、新卒入社後の8年間のほぼすべてを捧げた大手企業から、老舗とはいえ外資系のメーカーに転じる決断をした時期でした。しかも、「同業他社には行かない」という矜持(きょうじ)を持つ章子さんは、前職とはまったく異なる分野の会社を選択。同じ営業職とはいえ、またゼロから学び直すことになります。社会人としての基礎力は身についたという自信に加え、新しいことに挑戦できる若さが必要ですよね。

 この時期は大卒総合職層の男女が恋愛して結婚する「最後のピーク」でもあります。超えてしまうと、周囲から同世代の独身者が急に減ります。特に女性は苦戦を強いられますよね。30歳前後は、キャリアだけでなく生活においても大きな過渡期だと言えるのです。続きはまた来週。

文/大宮冬洋 写真/鈴木愛子

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