友人の結婚式で知り合った魅力的な男性

 さて、結婚に焦る北田美絵さん(仮名、36歳)の話に入りましょう(前回記事・楽しくても、ときめかなければ放置 私って残酷?)。長い前振りでお気づきかもしれませんが、美絵さんはいま妻も子どももいるオーナー社長の久幸さん(仮名、37歳)とお付き合いをしています。出会いのきっかけは2年前に開かれた友人の結婚式でした。

 「地元の友達は20代のうちに結婚して、学生時代の友達も30歳を過ぎると次々と結婚していきますよね。このままだと結婚相手が誰もいなくなる、会社と実家の往復だけではヤバい、もっと世界を広げたい、と思っていたまさにそのときでした。彼は派手な服装をして披露宴で面白いことを話していたので、披露宴から二次会に移動するときに話しかけたんです。残念ながら既婚だったので、『あなたみたいに面白い人が友達にいたら紹介して』と冗談交じりにお願いしました」

 美絵さんは久幸さんと意気投合。お互いの仕事やこれまでの人生に関する会話を、LINEを使ってほぼ毎日やりとりするようになりました。3カ月後、出張先の東京で落ち合った美絵さんに対して、久幸さんは切り出します。

 「紹介するのは友達じゃなくてオレでもいいか?」

 既にLINEで仲良くなりすぎていたこともあり、美絵さんはそのまま久幸さんが滞在するホテルに泊まってしまったのでした。安全で善良だけど美絵さんのことが大好きな男友達とは「クリーンな関係」を続けているのに、久幸さんとは最初のデートで男女関係になったのです。

 「私は、本質的に男の人が苦手なんだと思います。安全そうな人が徐々に迫ってきたりするとなぜか逃げたくなります。でも、彼みたいに明らかに危険な人に強引に来られると折れてしまうのです。一気に近寄られて結ばれたら、後は何も怖くなくなります」

 美絵さんと久幸さんはいま、月1、2回のペースで東京で会っています。二人は別々の地方都市に住んでいますが、美絵さんは自立度の高い働き方をしているエース級社員で、久幸さんはお金に余裕があるオーナー社長です。東京での日程を合わせるぐらいは可能なのでしょう。

 「彼の友人の男性とその彼女との4人でダブルデートをすることもあります。東京でおいしいものを食べて、高級ホテルに泊まるのが楽しいです。ただし、彼を奥さんから奪って結婚したいという気持ちはありません。あんな人と結婚して家に残されたら寂しくて嫌です。だから、私も奥さんには迷惑をかけすぎないように気をつけています。愛人体質なのかもしれません……」

 美絵さん、「不倫は絶対ダメ」なんてやぼなことは言いません。心身を決定的に傷つけない限りは、いろんな経験をするのは人生を豊かにすることにつながると思います。

 でも、結婚を真剣に考えているのであれば、将来を考えられない人と長く付き合い続けるのはやめたほうがいいと思います。久幸さんは遊び上手で話も面白く、細やかな気遣いもしてくれるのでしょう。すると、知らず知らずのうちに彼が「男性の基準」になり、不器用だけど誠実な独身男性と親しくなる機会をどんどん遠ざけることになってしまいます。

 美絵さんはこれからどうするのでしょうか。食事をしていたエスニック料理店を出て、2軒目で日本酒を飲みながら話を聞きましょう。近くに美絵さん行きつけの割烹(かっぽう)があるそうです。続きはまた来週。

文/大宮冬洋 写真/鈴木愛子

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