自分のチームを成長させたい 仕事への姿勢も一変

 「管理職試験はかなりの難関で、同期の人たちはほとんど落ちていました。私はなぜか合格し、30代半ばの女性マネジャーとして社内で話題になっています。正直いって、女性だからゲタを履かせてもらったのかなと思うこともあります。若くして管理職になった男性は幹部候補生のすごい人たちばかりですから」

 年上男性も含めて8人のメンバーを率いる管理職となった直子さん。部下の一人は3歳年下の独身男性で、昇格した直子さんを「サシ飲み」で祝ってくれたそうです。

 「末っ子気質の私は年下が好きじゃないんです(笑)。年上に甘えるのは得意だけど、年下にはどう接したらいいのかわからなくて無駄に威張ってしまうこともあります。でも、彼と仕事のことを初めて熱く語り合えたのはよかったですね。恋愛感情? それはありません。上司としての愛情はたっぷりありますけど……」

 僕は職場恋愛を個人的に推奨しています。同じ会社や学校の出身者は生い立ちや仕事観・生活観が似ていることが多く、結婚をしても家庭生活に行き違いが生じにくいと感じるからです。普通に生活していると、身近にいる異性が当たり前の存在のように感じます。でも、社会全体からすると価値観が似ている人は意外と少ないものです。

 直子さんには社内の年下男性にも目を向けてほしいと思いますが、管理職という立場上は難しいのかもしれませんね。部下を任されているという責任感を人一倍感じ、仕事への姿勢も大きく変わったと直子さんは自覚しています。

 「以前の私はいわゆる『ベルイチ』の女でした。自分の仕事はきっちりやるけれど、終業ベルが鳴ったら一番にダッシュで帰るのです。残業は基本的にしないし、会社の飲み会もほとんど断っていました。アフター5も休暇もすごく充実していましたよ。でも、マネジャーになってからは、メンバーと自分の成長を考えるようになりました。そのためにはチームの地位も向上させたい。(管理職になって)残業代が出なくなった今のほうが以前よりも残業しています」

 若手管理職としてがんばっている直子さんですが、「仕事を口実にして見るべき現実から目をそらしている」と自己嫌悪に陥ることもあります。その現実とは、気になる男性すらいないこと。老後は孤独に過ごすことになるかもしれない、と直子さんは不安を抱えています。