東京ミッドタウン(東京・港区)で、5月19日(土)と20日(日)に開催された「WOMAN EXPO TOKYO 2018」。多彩なテーマでお届けしたセッションの中から、20日(日)に実施された「元気な赤ちゃんを授かるために、いま出来ること『働く女性のための妊活セミナー』」の模様を前後編でリポート! 後編の今回は、4年間にわたる不妊治療を経験した女優の矢沢心さんと、「よしかた産婦人科」の副院長・善方裕美さんの「パネルディスカッション」(セミナー後半)の様子をお届けします。

◆セミナー前半の記事はこちら→ 妊活の基本は「運動・食事・睡眠」と「環境づくり」

自分の体を知ると、前向きな未来設計が立てられる

 パネルディスカッションには、セミナー前半で基調講演を務めた産婦人科医師の善方さんが登場。そして大きな拍手で女優の矢沢心さんが迎えられ、「日経BP総研」の黒住紗織が聞き手を務めました。

左から「日経BP総研」の黒住紗織、女優の矢沢心さん、「よしかた産婦人科」の副院長・善方裕美さん
左から「日経BP総研」の黒住紗織、女優の矢沢心さん、「よしかた産婦人科」の副院長・善方裕美さん

 矢沢さんは、2007年、25歳のとき、K-1選手の魔裟斗さんと結婚。4年間諦めずに夫婦で不妊治療に取り組み、体外受精と顕微授精を経験。そして2012年に長女(現在6歳)を出産しました。その後、2014年には、なんと自然妊娠で次女(現在3歳)を出産した経験を持つワーキングマザーです。

黒住 矢沢さんは「多嚢胞性(たのうほうせい)卵巣症候群」という病気を抱えていたそうですが、それはいつ頃分かったのですか。

矢沢 もともと10代の頃から生理不順で、長いときには半年以上も生理が来ないことがあり、心配になって婦人科を受診しました。その時に「多嚢胞性卵巣症候群」という診断を受けました。ですから10代の時には、自分の体に起こっている症状と、その病名を知ることはできていました。

黒住 善方先生、矢沢さんが抱えていた「多嚢胞性卵巣症候群」とは、どのような病気なんでしょうか。

善方 「多嚢胞性卵巣症候群」は、病名が長くて難しいので、珍しくて重い病気かなと思いがちですが、分かりやすく言うと「排卵しにくいタイプの卵巣」ということです。例えば生理が長めの40日周期の方の中にも、「多嚢胞性卵巣症候群」の方はいらっしゃいます。本人には病気という認識がなくて自然妊娠され、「いつも生理不順なんですけど、たまたまタイミングが合ったみたいですね」とおっしゃる方もいます。

黒住 なるほど、必ずしも妊娠できないというわけではなく、妊娠しにくいことがある病気なんですね。

善方 排卵しにくいわけですから、妊娠する機会が少ない、ということになりますね。

黒住 矢沢さんのように事前にチェックして「自分の体を知っておく」ことは、元気な赤ちゃんを授かるための大切な準備になりますね。

矢沢 そうですね。私は10代の頃に自分の体を知ることができたので、前向きな未来設計を立てられたと思います。結婚して妊活を始めてから、なかなか子どもを授かることができなかったのですが、その時にも「あの病気が原因なんだろうな」と冷静に考えて、早めに不妊治療を受けたほうがいいなと、前向きにライフプランを立てることができました。

善方 矢沢さんのように体のサインを見逃さず、月経異常などがある場合に産婦人科へ行くことは、妊娠する環境づくりの準備にもなります。基礎体温もつけておくといいですね。