働く女性の悩みに寄り添うアドバイスが

 後半のトークショーでは、事前にアンケートで寄せられた質問に、お二人が丁寧に答えてくれました。

 1問目は「表現者として大事にしていることは何ですか?」という質問。

 森高さんは「自分らしさをいかに表現するか、ですね。でも、それもすごく難しいです。デビュー当時は何が自分らしいのか分からずに探し続け、今でも探している途中です。でも、自分のやりたいこと、好きなことはすごくはっきりしているので、迷わずに進み、一つひとつ自分のものにしていきたいです」と言葉を選んで、答えてくれました。

森高千里さん
森高千里さん

 MIKIKOさんは「私は森高さんのようにステージで活躍される方の魅力を引き出すのが仕事です。なるべく、ご本人やファンの方も気付いていなかった魅力を引き出せるような表現ができたらと思っています」と教えてくれました。

 そして、2問目は「ターニングポイント」となった出来事。

 森高さんは「やはり歌手としてデビューしたこと」だと振り返ります。

 「もともと歌手になりたいと思っていたわけではなく、友達の付き添いとして受けたオーディションで優勝し、この仕事を始めることになったんです。九州から出てきて言葉の壁にも苦労しましたし、周囲が大人ばかりだったので自分の意見をうまく伝えられず、ストレスで入院したこともあります。でも音楽が大好きでしたし、『負けないぞ』という気持ちで頑張ってきました」(森高さん)

 MIKIKOさんは「自分が踊る側から、振付家に専念しようと決めたこと」をターニングポイントとして挙げました。

「高校生の時にダンスを始め、最初は仕事にしたいとも思わず、夢中で踊っていました。でも20歳ごろから振り付けを担当し、『人はただ立っているだけよりも、踊ったほうが何倍も輝く』といった瞬間に何度も立ち会えました。そこで私は自分がステージに立つよりも、ステージに立つ人を輝かせる仕事がしたい、と決意したんです」(MIKIKOさん)

MIKIKOさん
MIKIKOさん

 最後の質問は「ワークライフバランスをどうやって取っていますか?」でしたが、MIKIKOさんは「実は趣味がないのが悩みで……」と苦笑い。

 「好きなことを仕事にしているので、常にダンスのことが頭にあります。でも、ちょっとお茶を飲むときなどは気持ちを切り替えて、リセットします。それに前向きな気持ちでいると、パッと答えがひらめき、日々の疲れが吹っ飛ぶ瞬間があるんです」(MIKIKOさん)

 森高さんは「仕事と家事、育児……もちろん、他のことでも両立するのは大変ですよね」と働く女性に共感を示しました。

 「私も仕事をしつつ、家では食事を作ったり、掃除をしたり……確かに大変です。でも、仕事も育児も家事も全部自分がしたいことなので、なるべく楽しむように意識しています。幸い家族たちも『やりたいことはしたほうがいいよ。手伝えることは手伝うね』と言ってくれています」(森高さん)

 最後は働く女性に一言ずつ、メッセージを贈ってくれました。まずはMIKIKOさんからです。

 「私は今年40代になりましたが、20代、30代は悩んでばかりでした。でも、私の母が『年を取れば取るほど楽しくなるよ』と言っていて、まさにそれを実感しています。これからも自分の仕事と向き合って、苦しみながら、楽しみながら、作品を残していきたいです」(MIKIKOさん)

 「仕事と何かを両立するのは大変ですが、『これが終わったら映画を見に行こう』『ちょっとチョコレートを食べよう』と、たまには自分にご褒美をあげるとよいと思います。皆さんも自分に優しくしながら、頑張っていただきたいと思います」(森高さん)

 お二人の温かいメッセージに、会場からは大きな拍手が送られました。

文/三浦香代子 写真/竹井俊晴