家計の見直しをせず、安易に「運用したい!」は賛成できない

 「手取り(可処分所得)も増えないし、老後も不安だから運用したいと言う人がいますが、賛成できません」とキッパリ。というのも、家計の見直しをしないまま、無駄に支出をしている場合、運用してもさらに無駄使いが増えるだけ、ということになりかねません。

 「もちろんリスクにさらして、運用して殖やすという手法も否定はできません。ただ結果は完全にマーケット次第になってしまい、自分のコントロールの手から離れることになります。なので、大切なのはまず家計(収入と支出のバランス)をしっかり管理し、手元にあるお金を大事にすること。自分でできることをした上で、運用など外部の力を借りる。その順番が大切なのかなと思います」

 最後に八ツ井さんはこんなメッセージで締めくくりました。

 「私たちは『(労働)時間』を提供し、『(給与)お金』を生み出し、それを『時間』をかけて『使う(支出)』ことを繰り返しています。それが家計であり、人生と言ってもいいかもしれません。この流れそのものを人生と捉えれば、自分がどうありたいのか(to be)、どういう人生を送りたいかを考えて、そこに自分の大切なお金と時間を使うといいのではないでしょうか。ご自身の『to be』を見つめていただき、そこを目指す過程こそ、Myスマート人生なのではないかと思います。

 また、住宅費、教育費、老後資金など人生にかかるお金を平均値で表すことがよくありますが、それはあくまでも参考であって、必ずしも自分に当てはまるものではないということです。自分にとって必要なお金も、自分を軸に、常に『My』を意識して考えることがスマートな人生への一歩になると考えます」

文/伯耆原良子 写真/稲垣純也