落ち込んだときは、人と話してパワー回復

 ここで、参加者からの事前アンケートで多かった質問に「○」「×」で答えてもらうコーナーへ。1問目は「仕事へのモチベーションを維持する秘策がある」。これは3人とも「○」と答えました。

アマゾン永妻 人を動かす立場になってくると、仕事において周囲に及ぼす影響が良いことばかりではなく、落ち込むこともあります。そんなときはあえて仕事とは距離を置き、全く違うことをやって気持ちを切り替える。友達と会ったり、仕事と全く関係ない人と会って話を聞いたりして、ポジティブなエネルギーをもらいます。

アビーム岩井 私は落ち込んでいる状況に応じていろんな人と会います。自分より目線の高い人の話を聞きたいときは、社内外問わず自分よりキャリアのある先輩と食事に行く。同じような感覚で悩んでいそうな人に話を聞きたいときは、仕事の話はしませんが、同僚や学生時代の友人と会って、気分転換をするようにしています。ただただパワーが欲しいなと思ったら、自分より若い、すごく前向きにいろんなことに挑戦している人たちと食事に行ったりもします。

スリーエム広瀬 落ち込むことはけっこうあるのですが、総合的に判断して何パーセント幸せかなと考えます。51%以上なら、嫌なことは忘れて100%幸せなつもりで過ごそうと気持ちを切り替える。「51」がポイントです。一つずつ考えると暗い気持ちになってしまうので、一歩引いて総合的に「自分は本当にこれをやりたいのか?」と自問する。そこはおそらく理屈ではなく、直感的にイエスかノーで判断します。

キャリアについて周囲に意思表示することは大切

 次の質問は、「ポジションアップのために、ある程度の根回しは必要」。こちらは永妻さんと岩井さんが「×」、広瀬さんは「○」でした。

アマゾン永妻 「黒い根回し」は必要ないですが、自分がどういう仕事に挑戦したいのか、そのためにはどういうポジションで働きたいのかといった意思表示は上司にしたほうがいいと思います。黙っていては伝わらないので、私が社内でメンターをしている人にもそうアドバイスしています。

アビーム岩井 私も同意見です。自分は何ができて、何をしたいかを知っている人をたくさんつくることは大事だと思います。キャリアを築いていくためには達成する機会を与えられることがとても重要で、そのためには機会につないでくれる人とのつながりが必要です。ネットワークをつくることは根回しとは違います。

スリーエム広瀬 答えはお二人と一緒でした(笑)。自分の希望はある程度までは上司があげてくれますが、そこから先は自分で言わないと誰も持っていってくれない。そこはきちんとコミュニケーションしたほうがいいと思います。

はぴきゃり金澤 キャリアについての意思表示が大事というのは皆さんの共通見解ですが、誰に伝えるのがいいでしょうか。人事権のある直属の上司なのか、それとも違う視点で動いたほうがいいのでしょうか。

アマゾン永妻 まずは直属の上司がベストだと思いますが、部下の育成経験のレベルにばらつきがあるのも事実。そういう場合は、たまにはスキップして一つ上の上司に相談して新しい視点をもらったり、可能であれば社内でメンターを見つけたりするのも一案です。アマゾンにはメンター制度があって、「こういうジャンルのメンターをやります」と手を挙げている人を、社内のツールで見つけることができるようになっています。第三者的な立場からアドバイスをもらえるのがメリットで、制度がなくても話を聞いてもらいたい人に自分からアプローチしてもいいと思います。

アビーム岩井 アビームには社員全員に、マネジャー以上のカウンセラーが一人付くカウンセリング制度があります。コンサルタントはプロジェクト単位で仕事を遂行するので、プロジェクトのリーダーは毎回異なります。カウンセラーはその人のキャリアの継続性や中長期的な視点でどうしていくかを一緒に考え、成長のステップとなるプロジェクトに参加できるよう働き掛けをします。

スリーエム広瀬 私も上司や人事の人に話せるのがベストだと思います。弊社にもメンター制度があり、私もメンターでありメンティー。特に私は中途入社なので、「こういうキャリアを積みたいのだけれど、誰に話を聞いたらいいのか」といったことをオフラインで聞かせてもらって、参考にしています。