自信はない。でもチャンスにひるまない

 そんなお二人も、初めからリーダーという立場に自信があったわけではありませんでした。子どもを育てながら、それでも「やってみよう!」と思えたのは、なぜなのでしょうか。

田中さん:育休から復帰して悶々とした時期を過ごしていたとき、上司に「10年後に何したい?」と問われたことがあったんです。ふと、「10年後くらいには課長になっていたらいいな」と思った自分がいました。そのとき、気持ちが吹っ切れたというか。

渡辺さん:私は、マネジメントしてみないか? と話を上司からいただいたとき、「私には務まりません」とお話ししたんです。それでも上司が、「できると思って評価をしてるんだからやってごらん」と言ってくださって。自分をそう評価してくれる人が身近にいるのであれば、応えたいなと思ったことがきっかけでした。

未来のために、さらなる高みを目指して

 プライベートでは息子さんたちとよく体を動かすという渡辺さん。田中さんは、おいしいワインと手料理を楽しみながら家族と過ごし、1週間の労を癒やすそうです。お二人は、これからのキャリアパスをどのように描いているのでしょうか。

渡辺さん:今は副支店長になって1年ほどですので、まだまだ足りないことばかりですが、次は支店長を目指して目下勉強中です。何年後になりたいという目安もありませんが、支店のトップマネジメントの役職なので、なるべき時期になれたらいいなと思っています。

田中さん:私はずっと個人営業に携わってきたので、その専門性を磨いて部長を目指したいと考えています。そして、後輩たちが仕事と家庭を両立したり、プライベートの時間をしっかり過ごせるように支援していきたいなと思っていますね。

それぞれのキャリアビジョンを説明するお二人
それぞれのキャリアビジョンを説明するお二人

 最後に、仕事と家庭にまい進するワーキングマザーの皆さんに向けて、お二人が贈りたい言葉とは――。

渡辺さん:管理職などのチャンスが目の前にあるようなら、ぜひつかんでみてください。もちろん不安もあると思います。でも、仕事というものは日々少しずつ積み重ねていくものですし、それは管理職も同じ。だから、ひるまずにチャレンジしていただきたいですね。

田中さん:私も、課長になるときには「無理!」と思っていました。でも、立場が変わることでやりたいことも開けてくるんです。管理職というプレッシャーに足踏みすることもあると思いますが、道はきっと開けるので、差し出されたチャンスはぜひつかんでいただきたいですね。

文/金澤英恵 写真/中村嘉昭