質疑応答の時間では、皆さん積極的に手を挙げ、岩下さんに質問をしていきました。ここでは一部を紹介します。

参加者 「合わない上司、特に本音を言わない男性上司とはどのように付き合えばよいでしょうか?」

岩下さん 「やはり日々の会話が大事ですので、まずはコミュニケーションの量が不足していないか、考えてみましょう。その上で私なら、男性上司が腹を割って話していそうな男性の部下に探りを入れに行きます(笑)。

 男性同士だと本音で話している場合もありますので、社内の人間関係の中でうまく情報を収集することも時には必要だと思います」

参加者 「私の会社はかなり封建的なため、日々苦戦しています。トップの意識を変えるには、どうしたらよいでしょうか?」

続々と真剣な質問が寄せられる
続々と真剣な質問が寄せられる

岩下さん 「それには2つの方法があると思います。1つはトップを取り巻いている人たち、もしくはトップや経営者たちを、女性活躍のテーマを扱った会合に参加させて意識を変える方法です。直接的なきっかけを与えるやり方ですね。

 それが難しい場合は2つ目の方法として、ボトムアップでトップまで上げていく。女性社員の現状をアンケートなり、座談会なりでまとめ、女性の声として上げてはどうでしょうか。そのときに『女性社員の不満』として上げるのではなく、『こういう制度があればもっと頑張れる』といった前向きな声を上げるように気を付けたほうがよいと思います」。

参加者 「部下に反発心の強い人がいて、困っています。論理的に説明をしても通じずに困っているのですが、どうしたらよいでしょうか?」

岩下さん 「まずは反発心の原因を探ってみましょう。本人が話さないのであれば、その人と親しい人など周囲に聞くのもいいと思います」

参加者 「先ほど部下のタイプや状況に合わせて『リーダーシップのタイプを変える』というお話がありました。シフトするコツがあったら教えてください」

岩下さん 「部下のタイプや状況を見極め、ふさわしいリーダーシップを発揮するには『練習するに尽きる』と思います。かくいう私も、まだまだ過渡期で模索中です」

 質疑応答では率直な意見のやり取りが交わされ、会場は熱気に包まれました。この真剣さこそが女性を取り巻く労働環境を変える力になる、と確信できたセッションでした。

文/三浦香代子 写真/竹井俊晴