長期運用のコツは「放っておくこと」

 もう一つ、資産運用について、高橋さんは驚きのコツを教えてくださいました。それは「放っておくこと」というもの。長期間、投資を続けた場合、「値上がりしているので売った方が良いのか?」と迷うケースがよくあります。

 「株式市場は変動するので、どうしても“ヤマッ気”が出てきますよね。日本よりマーケットが上昇した米国で、一銘柄の株式を買ったケースを考えてみましょう。1991年から2015年までのS&P500(米国市場の代表的指数となる代表的な企業の株価の平均)のデータをもとにしたシミュレーションでは、株式市場を一生懸命見張って売買しても、『最も価格が上昇したタイミング』を逃してしまうと、何もせず保有し続けた方よりも収益率が落ちるという結果が報告されています。たいていの働く女性のライフスタイルでは、ベストな売買のタイミングをとらえるのは難しいでしょう。例のような場合、『対処しないのが正しい対処』といえます。女性はギャンブル的に利益を追求する人よりも、保守的な運用をする傾向があるので、こうした長期の資産運用に向いています」

これから投資を始める人へのアドバイス

 最後に、これから投資を始める人へのアドバイスとして、高橋さんは「もし、投資に不安を感じるなら、解決策は長い時間をかけること」と言います。長期投資がリスクを減らしてくれるということはすでに学びました。そういう意味では、25歳で始めるほうが45歳から始めるよりも有利になるということですね。

 「いろいろやり方はありますが、結局、投資に大切なのは『目標を決め、計画を立て、それをコツコツ実行する』こと。そして難しいことがあれば、専門家のアドバイスをあおげばいい。でも、これって何も特別なことじゃないですよね。たとえば、英会話やスポーツなどを始めるときと、きっと同じ。ぜひ肩ひじ張らずに、資産運用を日常生活の一つとしてとらえていただければと思います」

文/越智理奈 写真/古立康三