5月21日(土)・22日(日)に開催された「WOMAN EXPO TOKYO 2016」。22日には「働く女性が輝くために~知っていますか? 腸内環境、女性ホルモンの働きやエクオール」と題して講演が行われました。小林メディカルクリニック東京 院長の小林暁子さんに、働く女性が知っておきたい腸と健康の関係や、最近分かってきた女性が注目すべき腸内細菌とエクオールの働きを教えていただきました。

女性の健康に大きく関わる腸内生菌とは?

 「腸内フローラ」という言葉を聞いたことがありますか? これは、人間の腸にすむ100兆個もの細菌が構成する生態系のこと。近年、この分野の研究が進み、腸が人間の健康に深い役割を果たすことが知られてきているそうです。小林メディカルクリニック東京の小林暁子さんによれば、腸内細菌の中でも、女性の健康に大きく関わると注目されているのがエクオール産生菌です。

小林メディカルクリニック東京 院長の小林暁子さん
小林メディカルクリニック東京 院長の小林暁子さん

 「この腸内細菌が大豆をもとにつくるエクオールという物質は、女性ホルモンに似た働きをもっています。目安としては1日に1パックの納豆を食べれば、効果が期待できる10mgのエクオールを産生できます」(小林さん)

 大豆が女性の健康や美容に良いとよく言われるのは、大豆の中のイソフラボンが腸内細菌によってエクオールに変わるからなんですね。

女性ホルモンの減る更年期をエクオールがサポート

 エクオールは女性ホルモンの低下を補うことで、更年期症状を緩和できるといわれています。更年期はすべての女性が迎える心身のターニングポイント。日本女性の平均では閉経前後、45歳~55歳頃に当たります。この時期にはエストロゲンという女性ホルモンの低下にともない、月経不順やのぼせ、発汗、めまい、50代以降は疲労感や不眠、60代以降は骨粗しょう症など、さまざまな心身の不調が現れます。

 「更年期障害には薬物療法やホルモン補充療法などがありますが、そうした治療に抵抗がある方には数年前からエクオールの摂取をお薦めしています。エクオールには肩こりやホットフラッシュなど更年期症状のほか、骨密度の低下やコレステロールの増加を抑える効果もあることが研究で実証されています。実感する最初の効果としては、『肌のハリが出た』と言う患者さんが多いです」(小林さん)

 「実は、日本女性の約半数はエクオール産生菌をもっていません。産生者かどうかは尿検査で分かります。私も非産生者です。そうした方も、エクオールそのものを摂取できるという選択肢があることを知っておくと良いでしょう」(小林さん)