イクメンは褒めて育てるもの

金澤さん:今日のパネリストは、全員既婚者でお子さんもいらっしゃいますが、そもそもどうして今の旦那さんを選んだか、どうやってイクメンに育てたのか教えてください。

江浪さん:前職で知り合い、同じような仕事をしていたので、仕事に対する理解はありました。夫は私が好きな仕事をして楽しそうにしていればいいと思ってくれて、仕事を辞めろと言われたこともありません。

一木さん:主人は職場の先輩で、結婚にあたって、イクメンとか、家事サポートをしてくれるかという視点はゼロでした。最初、主人は家事をしてくれたのですが、私が主人のやり方に口を出しているうちに、徐々に止めてしまいました。ネガティブな発言で主人の芽を摘んでしまったんです。

 今は、家事をやってくれたら「ありがとう」「いいね」と褒めたり、感謝の気持ちを伝えたりして緩やかに育てています。

寺井さん:休日出勤で主人と話したのがきっかけで、1か月後に結婚したので、イクメンとかは考えませんでした。職場結婚を考えている人へのアドバイスは、職場の顔と家庭の顔は違うということです。部下には命令口調では言わないし、「ありがとう」と言うのが普通ですが、それを家庭でするのは難しいですね。

大嶌さん:私は職場結婚ではなく、タイミング良く知り合った今の主人と、1年後に結婚しました。主人は娘を可愛がっているので、育休後は、家事は私が担当し、子供のお風呂や寝かしつけを頼みました。

 子供が成長して主人に暇ができたとき、突然、「洗い物をする」と言い出したので、喜んでおだてまくりました。文句を言わず、感謝の言葉を言うことが、主人が変わるきっかけになったと思います。

 私がグループ長になったときには、「毎日6時に退社したら周囲はついてこない。早く帰って来なくていいよ」と主人から言ってくれました。

「満点を目指さない」――ワーキングウーマンにとって、たくさんのヒントがあったパネルディスカッション
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ワークライフバランスはそれぞれが見つけるもの

金澤さん:ワークライフバランスについては、どんな折り合いをつけていますか?

江浪さん:年代によって、その時々の優先順位があると思います。仕事、恋人、家庭、子供と、そのときに重要なことを優先して、あとは割り切ってやればいい。私は子育ても終わり、今後はどこで生きるかを考えています。仕事も一生懸命やるが、趣味もたくさんあります。

一木さん:正解はないと思うんです。ある女性上司に「両立するなら満点はない。満点をとりたいなら両立は無理」と言われました。ですから、私は満点を諦めるところから始め、自分が一番ハッピーになれるバランスはどこか、と手探りしています。限られた時間の中で子供と密度の濃い接し方をし、仕事の密度もいかに上げるかを工夫し、ワークライフバランスが定まるのかもしれません。

大嶌さん:子供が幼いときには、子供優先でした。仕事には代わりがいるので、効率的に働いて、周囲にも任せる準備をしておき、何かあったときには家庭をとることを自分の軸としていました。

 今は家族の協力もあり、仕事の重さは増えていますが、子供が思春期で難しくなったら子供を優先します。家庭を大事にしながら仕事もする、という落としどころをつけています。

寺井さん:私は無理はしません。計画を立てるのをやめ、当日、絶対にやることだけを決め、自分の心地いい状況で過ごしています。「疲れた。もうダメ!」と思わないバランスで、仕事、子育て、夫婦関係、プライベートを回す。全部やろうとしないで、できること、できないこと、人に任せること、を色付けして、心地いいバランスが最近できたところです。

金澤さん:今日のセッションには、ワーキングウーマンにとって、たくさんのヒントがありました。一つでも二つでも実践して、ご来場のみなさんの人生を変えるきっかけにしてください。

文/芦部洋子 写真/古立康三