グローバルキャリアを諦めず、子ども2人を連れて海外へ赴任

服部綾美さん
服部綾美さん

 続いて話してくれたのは、4月まで2人の子どもを連れてシンガポールに赴任していたという、グローバルコーポレート業務部参事役の服部綾美さん。夫を日本に置いて海外で仕事をするという「偉業」を成し遂げた服部さんは、家族に理解してもらうための説明が不可欠だったと語ります。

 「メイドさんに住み込みをしてもらうといったような、具体的な生活環境を示すことが大切だと思います。それでも双方の両親を説得するのは本当に大変でした(笑)」

 そもそも服部さんは入行当時から海外で働くことを希望していましたが、当時の日本の経済状況や会社の方針からすぐに夢は叶わず、その間30代前半までに結婚・出産というライフイベントを経験します。

 「育児と仕事の両立に苦心して人事部へ異動したころ、会社が海外での収益拡大に動きはじめました。さらに同世代で海外経験のある人材が手薄だという話もあり、これはチャンスだ!と考えたのです」

 そうして見事シンガポールに赴任することになった服部さんは、「世の中や会社がどこに向かっているのか」を注視することが重要だと語っていました。

 確かに自分の実力や希望とは関係なく、会社や経済の動きによってはチャンスがなかなか巡ってこないこともあるでしょう。そんな時にも服部さんのように訪れたチャンスを掴むためには、予測と準備をしておくことが重要なのですね。

日本女性は、もっとリスクをとるべき

デボラ・ヘーゼルトンさん
デボラ・ヘーゼルトンさん

 そして最後にグローバルキャリアの秘訣を教えてくれたのは、みずほフィナンシャルグループ・グローバルキャリア戦略部長のデボラ・ヘーゼルトンさん。オーストラリアの銀行から出発し、中国やインドでの業務に従事するなど、まさに国際派キャリアウーマンとして活躍をしてきたヘーゼルトンさんは、日本女性特有の「自信のなさ」について言及しました。

 「女性は総じて男性に比べると自信のない方が多いですが、こと日本女性はお手本となる“ロールモデル”が少ないことが、その原因のひとつではないでしょうか」

 さらに筆者が深く納得したのが、「自分自身もそのお手本となりうる」という言葉。制度といった構造的な問題に加え、文化的要因も女性の活躍における障壁になっていますが、ヘーゼルトンさんが問題視するのはカルチャー面、特に女性自身のマインドだと言います。

 「女性自身が自ら手を挙げ、チャンスをきちんと受け取ることが大切。職場や周りの人々と敬意や信頼のある関係を築き、自分を信じ、前向きに挑戦していってください」

国際的に活躍するための「4つの秘訣」

 そしてヘーゼルトンさんは、グローバルキャリアを築くために必要な4つの心構えを以下のように教えてくれました。

1.好奇心を持つこと

2.リスクをとること

3.楽観的であること

4.よいコミュニケーターであること

 「好奇心を持って知識を深め、そこに不確かさや曖昧さがあってもリスクをとってみるのです。その時、楽観的であればどんな冒険も楽しみながら前向きに取り組めるはず。そして国際的な活躍というと言語の習得ばかりに目がいきがちですが、必ずしも外国語を話せることだけがグローバルキャリアの条件ではありません。理解したい、学びたい、一緒に仕事を成し遂げたいという意識こそ、もっとも大切ではないでしょうか」