性別ではなく、政治家として判断される社会の成熟度
増田:今回のセッションタイトルは「初の女性大統領は誕生するか?」ですが……。
池上:8年前、クリントン氏は大統領を目指してオバマ氏と戦いました。あのとき黒人か女性かという選択で、黒人差別主義者と思われるほうがダメージが大きいと感じて、オバマ候補を選んだ人が多かったと、現時点では分析されています。
次こそ女性にと思っていた人が大勢いたのに、8年間で女性かどうかではなく、一人の政治家として誠実か信頼できるかに、アメリカの選択が変わった。それだけ女性の地位が向上し、当たり前に思われるようになったのではないでしょうか。すばらしい政治家を選んだら、それが女性だったという時代。いずれ日本もそうならなければいけないと思います。
1950年、長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。05年にNHKを退局後は、フリージャーナリストとして活躍。東京工業大学特命教授。
1964年、神奈川県生まれ。高校で社会科講師を務め、NHKリポーターの経験をきっかけに幅広く取材活動を続ける。近著に『揺れる移民大国フランス』(ポプラ新書)。
文/中城邦子 写真/竹井俊晴