成功している自治体とは

 ところが成功している自治体では、既成概念にとらわれずに、設立数年のベンチャー企業や、ときには個人事業主とも一緒に事業を興して、今までにない面白いものを生み出しています。サテライトオフィス事業を推進している徳島県や、魚介の鮮度を保ったまま都市に出荷できるサービスを導入した島根県隠岐郡海士町(おきぐんあまちょう)などがそうです。こうした様子を見るにつけ、世の中が共創社会へと移行し、これまでの常識では考えられなかったつながりで協業に取り組んでいることを実感します。この連載の「たくさんの共感を呼ぶ鍵は『視点』の数」で述べたような、仕事ともプライベートともつかない、価値観を基準としたつながりを作ろうという勉強会や交流会が増えているのは、共創社会だからこその現象だと感じます。

 私自身は今、ウィズグループ、たからのやまという2社の経営者という立場ですが、その他にも20近くの肩書・役割を持っています。これほど多くのことに関わっているのはここ5年くらいのことです。それだけバラエティに富んだことに取り組んでいるわけですが、実はそのうちの70%は、その年の内にお金になるというものではありません。

 私は、収入を1年ごとにとらえる“年収”という考え方から、少し長いスパンで3年ごとにとらえる“3年年収”という考え方へと変えてきました。「この活動が何に結びつくのかわからない。今年のうちには売上は立たないだろう。でも3年という時間があれば、何かビジネスには結びつく」。そんな出合いがたくさんあります。