仕事とは違う人間性を生かしていく時代がくる

 それともう一つ、社会と向き合うために忘れてはいけないことがあります。これまで、会社やそこにいるメンバーたちとは、会社にいる間だけ付き合えばいいという感覚がありましたが、これからはそういう時代ではないということです。

 定時まで会社で働いて、それ以降も食事に行ったり飲みに行ったりして付き合うという意味ではありません。そういう物理的な問題ではなく、一人ひとりのバックグラウンドをきちんと見ながら一緒に働き、強みを生かしていく時代が来ていると感じています。

 最先端のIT企業が、社内にスポーツクラブを設けたり、ビリヤード台を置いたりしているなどという話をよく聞きます。実際に私の会社のクライアント企業内にはカフェスペースや卓球台、ゲーム機などが置かれていますが、仕事とは違ったそれぞれの人間性が会社の中に浸透していくような仕組みを、目に見える形で作っているということだと思います。

 FacebookやTwitter、LINEなどのSNSの広がりというのも、それを後押ししているようです。別に会社の人たちとSNSを通してプライベートなつながりを作れと言っているわけではないのですが、これだけ広がったツールですから、仕事にも当然絡んできます。そうなれば、プライベートでどんなことをしているのかお互いに垣間見えるわけですから、仕事にも人間性が出てくることになるでしょう。

 どんな人でも、仕事もプライベートも全部含めた生活の中で、人間性が培われていきます。それなのに仕事だけの薄い部分を見て一緒に仕事をしようとしても、その人の人間性は生かし切れず、会社の成長にもつながっていきません。

 社会と本当に向き合うためには、一人ひとりの人間性や人間力をフルに活用する。それがこれからはますます大切になっていくでしょう。

<次回に続きます>

文/成田真理 写真/PIXTA

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