きょろきょろしているあなたが素敵

 仕事をしていると「自分の強みを持て」と言われることもあると思いますが、私の場合、今振り返っても当時の強みなんて「どんなことでも投げ出さない」とかその程度でした。あの時、ITイベントのオペレーションをやる人になるなんて思っていませんでしたし、今だって、向いてるのかどうか分からないし、何を成し遂げているのかも分かりません。

 そんな30歳のときの自分に声をかけるとしたら、「ずっとそのまま頑張っていれば大丈夫」ですね。

 本当は心の底から沸き上がるものがない状態なのに、無理やり具体的な夢を作って自分を追求していくと、どんどん先が狭まっていくと思うんです。選択するというのは何かを捨てる行為。だから、何も選んでいないというのは、この先また選択肢が広がるということ。そして、何も選べないのは、そのタイミングじゃないからというだけ。

 次はどこに進もうかな?って、きょろきょろしながらふわーっと「私は将来何になるのかしら」って思っていてもいいんです。何かになりたいと前を向いていれば。私のように数十年たった後にやりたいことが簡単に見つかったりするし、違うことがやりたくなったりするし、見つからないままでもいい。だって、時代って変わるんですよ。

 私は、時代は良い方に変わるって信じてるんです。なぜかと言うと、自分自身がその「良い方になればいいな」という活動をしているから。「私が時代を変えている」とは思わないけれど、「変えられる」とは思ってる。自分がそのために手を動かして行動しているので、それを信じられるんです。信じられるものって、想像ではなく実際の行動だけですから。

 私は何十億人のなかの一人でしかないですが、今、現在進行形で、未来を良い方向に変えられるように頑張っています。だからあなたも、「どんな未来がくるのかな?」「将来何になろうかな?」という気持ちをいくつになっても持ち続けて、そのまま頑張っていれば大丈夫。

 これを読んでいるあなたは、将来何になるのかしら?

文/梶塚美帆 写真/竹井俊晴

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