変化に強い人の条件とは

 変化に強い人間の条件は、「好奇心がある人」というのがまず一つ。

 もう一つは、どんな場所にも「片足しか下ろさない人」です。やりたいことを一生懸命やりつつも、そこに両足を下さずに片足だけを置いて、「この分野は次どこに生かせるだろうか」と、常に考えている人のこと。

 私の場合を例に出すと、最初に片足を下したのは、スタートアップの世界――資金と人材を集め、新しい価値を作り、社会を変える事業を起こしてそれを急成長させる、起業家の世界でした。そこから、「他の女性にもこのスタートアップの世界を味わってほしい」と思い、次の足を“女性”という分野に下ろしました。さらにそこから、「やっぱり女性はいろんな社会課題に直面している人が多い。これまでに得て知った技術を地域社会に生かしたい」と思い、次は“地方”に下ろす。そして「地方には仕事が少ないから、創業支援をしなくちゃいけないな」と気づいて……と、今につながっています。

 言葉にするととても概念的ですが、このように「今自分が足を下ろしている場所の、何を次に生かすか」という好奇心がどんどん生まれてきて、今に至っています。つまり、「片足しか下ろさない」というのは、ずっとそこにとどまらないこと。それが変化に強い人間の条件だと思っています。

 なにも、私のようになれと言っているわけではありません。これは25年も色々やってきた結果ですから。本当に数ミリだけ「次はどこに下ろそうかな」と考えるだけで、だんだん前に運ぶ感覚が出てくると思います。まずは、両足で一つの場所に立つという概念をやめてみることが大切。これからは、そういうグラグラした感覚に慣れないと、生きていけないとすら思います。

 それに、グラグラしていると誰かが助けてくれるはずなんです。働いていくなかで、次々と役目を負ってグラグラしてくると、人が助けてくれます。そんな風に、「大丈夫?」って言われるときが、伸びるときなんです。

 グラグラした感覚になったときこそが、伸びるチャンスです。