会社とは、レゴブロックで組み上げられた作品のようなもの

 それでは、あなたは会社の事業にどう関わっているのかを考えてみましょう。会社と社員の関係を語るとき、私はレゴブロックのイメージがぴったりだと思っています。

 レゴブロックにはいろいろな形や色があって、それらの組み合わせで、人、動物、乗り物、建物、街並みなど、あらゆるものが作れます。会社もまたレゴブロックによって作られる作品と同じで、いろいろな形や色の数々のブロックが複雑に組み合わさり、できあがっているのです。そしてあなたは、そのブロックの一つ、パーツとも言えます。

 パーツと言われてむっとしましたか? しかしながらひとかけらのブロックは、どんなに小さくても、作品を作り上げるためになくてはならない大切なものです。だからこそ、自分がいったいどんな形や色をしていて、会社という作品ができあがるためにはどんな役割をしているパーツなのかを考えてみる必要があるわけです。

 ところが、自分自身の形や色というのは、自分ではなかなか見えません。周りの人に教えてもらいながら、きちんと分析する必要があるのです。自分では見えていなくても、会社は「うちにはこういう形のこういうパーツが足りないから、どうしてもほしい」と思ってあなたをそこに置いているのかもしれません。だから自分自身のことを勝手に評価しないで、周りの人に教えてもらうべきなのです。

 あなたは会社にとってどんなパーツでしょうか? また、そのパーツはどんなイメージですか?

 例えば、社会人になったばかりの20代の女性が、「私は何にもできない、どうしよう」と思っていても、会社としては彼女が一生懸命な態度でお客様に接していることを必要だと感じているかもしれません。または、30代の男性が、「自分はただ営業に飛び回ることしかできない」と考えていても、その体力や精力的な行動を会社が求めているのかもしれないのです。

 そうしたそれぞれ違ったパーツが組み合わさって初めて、あなたの会社のモノやサービスを作り出すことができるのです。社内の他のパーツとなっている人たちとのつきあい方、チーム編成の方法などは次の章で詳しくお話ししますが、まずはあなた自身が会社という作品を作るために不可欠なパーツの一つであり、社会に向けてモノやサービスを生み出す立場にいるのだということを憶えておいてください。そして、一生懸命な20代女性、元気に飛び回っている30代男性でいいのか、そのパーツのままでいいのかどうかを考えるのが次のステップです。まずは、会社の一部として自分を見て、何を必要とされてそこにいるのかを想像することから、次が見えてくると思うのです。

<次回に続きます>

文/成田真理 写真/PIXTA

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