あなたが事業を起こすとしたら?

 さらに、私の場合は限界集落や高齢者向けなどのニッチビジネスも仕掛けてきました。

 ニッチビジネスとは、スモールビジネスを指すのではなく、業界や市場の中でまだ人が目をつけていない潜在的な需要に特化したモノやサービスを提供することを指しています。

 ただ隙間を見つけて、限られた市場の数少ない人を対象にビジネスをしているという単純な話ではありません。隙間を埋めているからという理由だけでは事業としては成り立ちません。そこで、これを読んでいるあなたに考えてみてほしいことがあります。

 あなたがニッチビジネスを仕掛けるとしたら、どんなものが思い浮かびますか?

 潜在的な需要とは、これまでにない価値観や、人々のニーズが深く眠っているためにまだ表層に現れていないマグマのようなものではないかと私は思っています。

 それを見つけたら掘り下げる。そうしてみたときに、どれだけたくさんの人が必要としているモノやサービスを生み出せるのか。大切なのはその点です。ビジネスとして成り立たせる以上、わずか一人や二人が共感し、価値を感じてくれるだけではとても足りません。

 潜在的な需要がありそうなところに風穴を開けたら広い世界がある、深い穴を掘ったらマグマに突き当たり、ある一定の数以上の人々が価値をわかってくれるからこその、ニッチな部分なのです。

 そしてあなたもまた、会社というチームのメンバーとして事業に携わっている以上、人々の共感を呼ぶという形で社会に影響を与えていくことができるのです。その本質的なことをきちんと意識しているかどうかは、とても大切なことです。