一人では社会に与えられない影響を与えられるのが、会社

 会社の中で、「そんなやり方はおかしい」「自分とは考え方が違うから協力できない」と感じ、自分はチーム戦に向いていないと悩む人がいますが、「チーム戦=同調」とは限らないということにも気づくべきです。つまり“異なる考え方を持つ者の集合体で戦力を高めるチーム”というイメージを持つことも必要だと思うのです。

 会社の中で個人vs.個人の違いからぶつかり合いを繰り広げることは、チーム戦という目的にまったくかなっていません。チームでどう戦うか。そのためにどうすればチームが心地良くいられるか。そこを突き詰めるようになれば、自然とメンバーとしての戦い方も変わってきます。

 あなたの会社の規模が大きすぎて、チームという感覚が持てないのであれば、まずは部署単位で考えてみてください。一つひとつの部署もまた、立派なチームなのですから。

 今どんな会社のどんな部署で働いているのかは、読者のみなさんそれぞれに違うかと思いますが、チームで戦える良さは必ずあるという点は共通しています。そのチームは、今まで事業を継続してきたという歴史に支えられ、多かれ少なかれ事業を運営する資金を賄う“会社”というスポンサーがついているのです。そしてメンバーみんなが、モノなりサービスなりを作っていくという同じ目的に向かって一緒に動いています。

 そのおかげで、一人ではできないことができる。一人では社会に与えられない影響を与えられる。そう、会社でできることとは、「スポンサー付きの究極のチーム戦」なのです。

再生の芽は必ずどこかにある

 どんな企業も、設立当初は何の歴史もない新興企業でした。もしかしたら、資金も人材もほとんどゼロだったかもしれません。それでも何らかの形で資金と人材を集め、チーム戦で何かにチャレンジするために、企業として設立されたに違いありません。

 あなたが「うちの会社では、チャレンジなんかできない」と思っているなら、それはただ、思い込みで自分を縛っているだけかもしれません。その“チャレンジできない空気”を作り出す一人に、あなたがなってはいないでしょうか。

 あるいはチーム全体が今はチャレンジを忘れてしまっているだけで、再生の芽は必ずどこかにあります。

<次回に続きます>

文/成田真理 写真/竹井俊晴

まとめて読みたい方はこちら
『会社を辞めないという選択―会社員として戦略的に生きていく』

「会社にいるとやりたいことができない!」と思ってない? 自分だけの強みを活かし、大きな仕事をなしとげる方法を、スタートアップ企業1000社の栄枯盛衰を見続けてきた奥田浩美さんが説きます。
明日から仕事が楽しくなるヒントがいっぱいの一冊。

Amazonで購入する
Kindle版はこちら

この連載は、毎週火・金曜日に公開。下記の記事一覧ページに新しい記事がアップされますので、ぜひ、ブックマークして、お楽しみください!
記事一覧ページはこちら ⇒【会社を辞めないという選択】