投資信託は最新でなくていい

 2000年ごろはテーマ型としてIT関連銘柄を多く組み入れるITファンドが数多く設定されていました。あるITファンドは、2000年の設定時には400億円の資金が集まりましたが、2010年に満期を迎えたときは純資産総額が11億円、1万口当たり1万円でスタートした基準価額も約3400円になってしまいました。

 この投信は満期までの10年間、運用は継続したのですが、同じようなITファンドの中には、残高が減ってしまい、運用が途中でストップしてしまった(繰上償還といいます)ものもあります。繰上償還するときは、たいてい基準価額が下がっているときです。そのため、投資したお金が大きく目減りしてしまった人も少なくありません。

 また、新しくできたばかりの投資信託を買うのも、あまりおすすめできません。私は新規設定の投信は「政治家のマニフェストのようなもの」と言っています。いくら当選前に「頑張ります」と言っても、実際に頑張るかどうかは当選した後の活動を見てみないと分からないですよね。

 それは投資信託も同じで、交付目論見書(投信を買うときに読む説明書)や販売用資料に立派なことが書いてあっても、その通りの運用ができるかどうかは実績を見ないと分からないのです。

 洋服やバッグは最新のアイテムがいいという人もいるかもしれませんが、投資信託に関しては必ずしも新しいものがいいわけではないのです。これから投資信託を始めようと考えている方は、ぜひ覚えておいてください。

文/竹川美奈子 写真/PIXTA