「投機」ではなく、投資をしよう!

 資産形成を考える上で気を付けたいのは、投資ではなく「投機」に走ってしまわないことです。

 投資というのは、経済や社会の発展にお金を投じていく行為です。株式投資であれば、「将来の投資価値の高まり」に対してお金を投じることになります。会社が社会に必要とされる商品やサービスを提供することで利益を上げていけば、投資した人たちは配当をもらったり、株式を売って利益を得たりということができます。

 一方、「投機」は価格の値動きに賭ける行為です。例えば、商品(トウモロコシや小豆など)や原油などは、投資対象自体が成長するわけではありません。買いたい人が多くなれば価格が上がりますし、逆に売りたい人が増えれば価格が下がるという具合に、需要と供給の関係で動くという側面が強いのです。そうした価格の変動に対して、お金を「賭ける」のが投機です。

 近年よく耳にするFX(外国為替証拠金取引)も投機の一種です。通貨自体が成長していくわけではないですし、どちらかの通貨が上がるともういっぽうの通貨が下がるという具合に、シーソーの関係になっているからです。投機と理解した上で、自己責任で手元の金融資産のうちの一部を投じるのは構いませんが、そこを誤解したまま始めてしまうのは危険です。

 投資をしたことのない人や、投資を始めたばかりの人の中には、「投資はギャンブルみたいなもの」「こわい」「危ない」というイメージを抱いている人も少なくありません。でも、そこでイメージしているのは、実は「投資」ではなく「投機」というケースが多いのです。資産形成を考えるときには、投機ではなく、投資をメインに据えてください。

文/竹川美奈子、写真/PIXTA