投資って具体的にどんなものがあるの? そんな疑問にファイナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子さんが答えます。

 投資をしようと思った場合、基本となるのは「株式」と「債券」です。投資信託という金融商品も、株式や債券などに少額から投資するための「器」。投資したことのない人は、「株式や債券に投資をする」といってもピンとこないかもしれません。そこで、今回はそもそも株式や債券とは何なのか、を見ていきましょう。

株式を持つ=会社のオーナーになること

 多くの人は株式会社で働いていますよね? ですから、本来、株式というのは身近なものであるはずです。

 株式とは、株式会社が投資家から資金を集めるために発行するものです。投資家は、出したお金の量に応じて株式を保有し、その分の会社の権利を持つことができます。株式会社は、いろんな人からお金を出してもらうことで成り立っているのです。会社の権利を小分けにしてお金を集めるための仕組みが株式といえます

株式会社は、株式という形で会社の権利を小分けにしてお金を集めます (C)PIXTA
株式会社は、株式という形で会社の権利を小分けにしてお金を集めます (C)PIXTA

 株式を保有することで得られる利益は二つあります。

 一つは「配当金」です。株を持っている人(株主)は会社のオーナーですから、会社に利益が出るとその利益の一部を配当として受け取ることができます。どれくらいの配当金が出るのかは、会社の業績や、会社の方針(どの程度を株主に分配するか)などによって異なります。中には、配当の他に自社の製品やサービスを無料または格安で提供するなどして、優遇する仕組み(株主優待)を設けている会社もあります。

株価は会社の価値に沿って動く

 もう一つが「売却益」です。証券取引所に上場している会社の株は、自由に買ったり、売ったりすることができます。保有している株式を売るときに、購入した値段(=株価)に比べて株価が上がっていると、値上がりした分の利益を得ることができます。

 株価は短期的には需給(買いたい人と売りたい人の勢力・状況のこと)で動きます。売りたい人より買いたい人が多ければ、株価は上昇しやすくなり、逆に株を買いたい人よりも売りたい人のほうが多ければ株価は下落しやすくなります。

 ただ、長い目で見ると、株価はその会社の価値に沿った動きをします。例えば、世の中にいい商品・サービスを提供して利益が伸びていく会社であれば、長期的には株価も上がっていきます。もちろん、短期的には実際の価値よりも大きく下がったり、上がったりということも起こりますが、長い目で見ると収れんされていくわけです。

 会社の株を持つということは、その会社のオーナーになることでしたよね。つまり、いい経営者・会社を見つけて投資をし、長期で株を保有することで、その会社の長期的な成長の果実をシェアしていくのが株式投資というわけです。

株は「たくさんの会社」を「まとめて」持とう

 長期での運用を考えた場合、まず基本となるのは株式です。一般に、株式は長期的に債券よりも高いリターンをもたらしてくれるからです。そのかわり、債券よりも値動きは大きくなります。

 もっとも、一つの会社の株しか持っていないと、大きく成長して株価が上がることもあるかもしれませんが、倒産してしまうこともあるかもしれません。ですから投資をする場合には、世界のたくさんの会社の株を、まとめて持つという視点が大切です(投資信託という商品を活用するとそうしたことが可能です。投資信託については別の回でお話ししたいと思います)。

株主になると、利益の分け前や権利がもらえます
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