専業主婦は合わなかったけど、必要な失敗だった

――今後、どのように働いていきたいと考えていますか。

 将来的には転勤がある総合職になりたいと思っています。国内や海外の出張もどんどん行きたいですね。今は「ママ、ママ」と言ってくれますが、きっと子どもたちが自立して離れていく時が来るはずです。とにかく今は、目の前のことに地道に取り組んで、「いつか」のために準備したいと思っています。

「いつか、転勤もある総合職にチャレンジしたいですね」
「いつか、転勤もある総合職にチャレンジしたいですね」

 子どもが小学生になると、専業主婦をしているお母さんにたくさん出会います。私自身は専業主婦を楽しむことができなかったので、楽しそうで羨ましいなと思うこともあります。一方、専業主婦のママ友からは「子育てしながら働くなんてすごい」と言われる。でも、私にとってはこっちのほうが楽。専業主婦は、人によって向き不向きがあるんだと感じています。

 子育てをしたことで、仕事でも優先順位をつけるのが上手になりました。以前は、何でもやります! と残業もよくしていましたが、今は安請け合いはできません(笑)。「一人で完璧にこなさなくてもいい」「人に頼っていい」ということを、育児を通して、子どもたちに教えてもらえました。それに、「自分が選んだ道(専業主婦)でも、違っていたら方向転換していい」ということも。これは今、人材育成でも生きています。「分からない」と感じる人の気持ちも理解できますし、人によって感じ方が違うということを、身をもって知りましたから。

 以前、「あなたは専業主婦に向いていない」と反対してくれた皆さんには、「すみません、あなたが正しかったです」と伝えたいですね(笑)。でも、あの暗黒時代がなかったら、今のこの仕事には出合えていなかった。失敗はしましたが、必要な失敗でした。一度専業主婦を選んだことも全く後悔はしていません。

 社会的にも女性が働くことが推奨されていますが、「働きたい人」が働くのはいいと思いますが、「専業主婦になりたい人」や「働きたくても働けない人」に強いることはできないと思います。子育てに限らずさまざまな事情で働けない時期というものはありますから……。逆に「働きたい人」に、専業主婦の立場を強いることもできないと思います。

 さまざまな転機を経て、自分に合う生き方は人によって異なるし、ステージで変わっていくということを実感しています。自分のやりたいことを実現する道を探していきたいですね。

聞き手・文/西山美紀 写真/村田わかな