「専業主婦に向いている人と、向いていない人がいることがよく分かりました」と話すのは、出産を機に子育てに専念したいと思い、専業主婦になったという二児の母、宮澤千絵美さん。宮澤さんは、念願の専業主婦になったものの、自分は向いていないと痛感。引っ越し、保活、再就職活動を経て、現在はニトリの商品部でシニアデリバリーとして働いています。そのキャリアの道のりについてお話を伺いました。

現在、ニトリの商品部でシニアデリバリーとして働く宮澤千絵美さん。今のようにバリバリ働くまでには長い道のりがあった
現在、ニトリの商品部でシニアデリバリーとして働く宮澤千絵美さん。今のようにバリバリ働くまでには長い道のりがあった

――結婚後、旅行会社を退職され、職業訓練校で貿易実務を学んだと伺いました。

 旅行会社の仕事はとても楽しかったのですが、月の半分くらいは海外で過ごし、日本で働くときは毎日終電までという生活だったんです。ツアーの企画やパンフレット作りから、アフリカや中南米、チベットなど世界各国の旅行の添乗までを担当。今後、結婚して子どもを育てることになったらこの生活を続けられないかなと思い、27歳の時、結婚を機に退職しました。

 ハローワークに行くと、職業訓練を受けられることが分かりました。海外に興味があるという話をすると、貿易実務という仕事があると教えてもらって、3カ月ほどの集中講座を受けて資格を取りました。そして、人材派遣会社に登録をしたら、すぐに化粧品会社からオファーを頂いたんです。当時、ロンドンに支店がある化粧品会社だったのですが、派遣社員として貿易事務を行う他、少しずつ翻訳や通訳などの仕事も任せてもらうようになりました。

 勤務時間は9時半~17時半だったのですが、夫婦二人の生活で家に帰っても時間を持て余してしまいまして……(笑)。「もっと仕事をしたい」と職場に伝え、頼まれるとつい受けてしまうという私の性格もあって、21時、22時まで働くようになりました。

「専業主婦願望」が強い私 周りは反対

――そんな折に、第一子を妊娠されたんですね。

 はい、数年後に妊娠が分かって、仕事を辞めました。私は当時、「子どもは3歳まで自分の手で育てたい」という「専業主婦願望」が強かったんです。退職する旨を上司に伝えると「正社員になってほしい、ぜひ戻ってきて」と言っていただいたのですが……結局、退職を選びました。私自身、一人っ子で両親が共働きで育ち、家でさみしい思いをしていたので、「いつか子どもを産んだら、家で見てあげたい」という気持ちがずっとありました。

 ところが、周りからは止められました。「あなたは専業主婦に向いているタイプじゃない。絶対にやめたほうがいい」と。その時私は聞く耳を一切持たず、「いやいや、私、専業主婦でも絶対にうまくいくから……」なんて思っていたんです(笑)。

――実際に専業主婦になってみて、いかがでしたか?

 出産前は「なんて自由なんだろう!」と思いました(笑)。つわりもなく、出産に向けてじっくり準備していく時間もあって、ものすごく快適でした。

 ところが……いざ生まれてみたら、いきなりどん底に突き落とされました。