男性たちは妻に働いてほしいと思っていた

――この本を買っているのは、女性だけでなく、男性も多いと聞きました。どんな男性たちが興味を抱いているのでしょうか? また、男性たちがこの本に興味を持つのはなぜでしょうか?

 もともと女子高生から20代前半の女性を対象に考えていたのですが、出版後に「妻に働いてほしい」と思っている男性が意外と多いことが分かりました。

 「俺が家族を支えるから働かなくていい」などと言ってしまったものの、出世も頭打ちで給料も上がらない。おまけに労働時間短縮が政府の大方針になって残業代も減っていく。この先の家計を考えると、妻に働いてほしいと思うようになったミドル世代の男性は、実はたくさんいます。でも今更言っても「約束がちがう」と怒られてしまうから、この本を買って、こっそり机の上に置いてみたりするようです(笑)。あと、若い世代の男性からも反響がありました。「結婚したら専業主婦になりたいと言っている彼女に読ませたい」のだそうです。

 男性を対象にするメディアからの取材もたくさん受けました。50代男性向けの雑誌の編集者に理由を尋ねると、いまや読者の一番の関心は老後資金なんだそうです。60歳で定年を迎えても、人生100年時代、老後は40年もあり、年金と貯金だけではとうてい足りそうにないと不安になるんです。では、どうすればいいのか。

 家計の所得を増やす方法は、(1)もっと稼げる自分になる、(2)長く働く、(3)(家計内の)働き手を増やす、この3つしかありません。(1)は自己啓発で成功するとは限りませんが、(2)と(3)は、やれば必ず効果があります。

 妻が50歳から60歳まで年収300万円で働けば、それだけでプラス3000万円です。50代のサラリーマンがどれほど頑張っても、いまから収入を何千万円も増やすことなどできませんから、共働きの効果は実は絶大です。世の男性たちは、ようやくこの事実に気付いたんですね。でも今更「働いてほしい」などと言えないから、「家庭を支えてくれてありがとう」などと言いながら、さりげなくこの本を家に置いておくというわけです。