笑顔が増えた、子どもが喜んでくれた

――働きに出たことで、お子さんはいかがでしたか?

 「子どもたちも笑顔が増え、うれしそうにしています。仕事を始めたことで充実感にあふれて、笑顔が増えたと自分でも感じています。職場に行けば仕事がある、誰かがいる。専業主婦時代とは違ったワクワクがいつもあります。

 ただ、夫はいまだ闘病中のため、経済的、精神的な不安が大きいことには変わりありません。家族や親しい友人と定期的に会って話をしながら、目の前のことを一つずつ、乗り越えていきたいと思っています」

――再び働き始めて3年ほど、最近はいかがでしょうか。

 「仕事にも慣れ、さらに店長代理となって、もはや仕事を辞めることは考えられない状況になりました(笑)。ステップアップのために、今後はいろいろな資格を取ろうと考えています。

 仕事をしている今も充実していますが、振り返ってみると、専業主婦時代もすごく充実していました。専業主婦だったあの10年間、仕事をしていたらきっと貯金もしっかりできて今ごろマイホームがあったかもしれない。でもそれと同じくらい、家族と一緒に過ごせた時間は幸せにあふれ、大きな価値があったように思っています。専業主婦として過ごした10年に悔いは全くありません。

 ただ、専業主婦時代の私は、自分の人生についてしっかり考えていなかったように思います。いつも、家族が最優先でしたから。あの看護師さんに言われた言葉で気付かされた『自分の人生は、自分で道をつくる』ということ。これからも心に留めながら、前に進んでいきたいと思います」

聞き手・文/西山美紀 写真/PIXTA