――そんな時に、今のサイボウズさんに出合ったんですね。

 サイボウズで「キャリアママインターン」というプロジェクトが実施されると聞き、紹介してもらいました。2年前の6月のことです。その頃は転職活動にも疲れ、「もう、このまま専業主婦で生きていこうかな」と諦めていました。サイボウズという会社も知らないし、通勤に片道1時間弱もかかるので「圏外」だったので。でも、1カ月だけのインターンだったら試してみてもいいかなと、軽い気持ちで説明会に行きました。

 すぐその場で面接があり、「どれくらいの頻度だったら来られそうですか?」と聞かれて驚きました。正直に「朝は子どもが早く出掛けるので、毎日9時には来られる。ただ、夕方は習い事の送り迎えもあるので15時や16時に帰りたい」と伝えたら、「そうですか、曜日によって変えてもらって大丈夫ですよ」と言われてまた驚いて。そうして、週2日は15時、週3日は16時に帰宅するかたちで、1カ月限定で働き始めました。

「まさか希望通りの働き方ができるなんてびっくりしました」
「まさか希望通りの働き方ができるなんてびっくりしました」

――16年ぶりの仕事とのこと……いかがでしたか。

 最初は通勤電車に乗れる自信がなく、毎日通う体力があるか不安でした。甘えん坊な小4の次男が、学校から帰宅して私がいなくても大丈夫か心配で心配で……。でも、実際やってみたら、意外と大丈夫。一人で家に帰って「ただいま!」と私に電話をかけてきて、明るい感じでホッとしました。

 仕事面では、驚くほど記憶力が衰えていましたが、PC操作などの基本的なことはすぐよみがえりました。ただ、久しぶりの会社勤め。体力を極限まで消耗して、私は週5で働くのが無理だと分かりました。週末には1週間分のおかずの作り置きをするなど、毎日きつかったですね。

――1カ月のインターンが終わって、どのような気持ちになりましたか?

 1カ月やり切ったという達成感と終わったーという解放感がありました(笑)。そして、この後どうするかと悩みました。仕事を辞めれば早起きしなくていいし、満員電車にも乗らなくていい。でも思い返してみると、この働いた1カ月がとても充実していた。もうあの場所に行けなくなると思うと寂しくなって、正式に応募することにしたんです。

 サイボウズは平均年齢が34.6歳と若い会社です。私が母になってもおかしくないような若い世代と仕事ができることが刺激的で新鮮でした。これまでの私は、よく長男が左手にずっとスマホを持っているのを叱っていましたが、いわゆるデジタルネイティブな世代と触れることで、そうか、これが当たり前の世代は発信力があって、こんなに素晴らしい仕事をする若者になるんだと、息子の少し先をいく世代をイメージできて、脳が活性化されました。

――そして無事に正式採用が決まったんですね。

 はい。勤務時間については改めて相談しました。基本的には9時~17時で、週に1、2日は在宅勤務をしています。「学校で保護者会があるので午前中在宅にして、午後は半休」ということもありますね。専業主婦で16年間のブランクがあっても、こうして柔軟な働き方ができることに本当に感謝しています。

(後編に続く)

文/西山美紀 写真/鈴木愛子