今、深刻な人手不足を背景に、主婦層を積極的に採用したいと考える企業が増え、再度キャリアを積み重ねていこうと働き始める元・専業主婦が増えてきています。とはいえ、仕事のブランクの長い主婦層は、即戦力という意味ではどうしても不利。市場でも、まだブランク人材への評価はそれほど高くはないようです。

 ただ、Warisで再就職支援事業を手がける小崎亜依子さんは、「ブランク人材ならではの良さもある」と言います。

企業が元専業主婦に期待するものとは

 「そもそも働きたい気持ちが強いのでモチベーションが高いですし、子育て、PTA活動など会社員とは異なる視点や幅広い経験があります。ブランクを取り戻そうという意欲があり、向上心が高い、子育てや介護などを経験する中で身に着けた忍耐力がある、採用されたことをありがたく感じている上、大きなライフイベントが終わっているので離職リスクが低いなど、ブランク人材ならではの良さもあるのです」(Waris小崎さん)。

 しゅふJOB総研所長の川上敬太郎さんは、企業側が主婦人材に対して期待している点を次のように話します。「一番は、コミュニケーション力の高さです。子どもからお年寄りまで、どんな人にも合わせて対応でき、相手に安心感を与えるコミュニケーション力は主婦ならではのものかもしれません」

元専業主婦は、とにかくコミュニケーションスキルが高い、と評価されています 写真はイメージ(C)PIXTA
元専業主婦は、とにかくコミュニケーションスキルが高い、と評価されています 写真はイメージ(C)PIXTA

 また、退職前の実務経験が豊富な主婦も多く、前職で培った経験、スキルにも期待が寄せられているといいます。「専門知識や資格があればもちろん良いですが、エクセルやワード、電話応対など、過去に身に付けた基本的なビジネススキルは、今も十分役立ちます。そうした方に若手社員の育成をお願いしたい、という声もよく聞きます」(しゅふJOB総研川上さん)。また、時間の制約がある分、時間内にきちんと成果を上げることへの期待も強いそう。