あくまで業務に付随することを強調して

 そのときにイケメン君が不安を抱くとしたら、「その後にプライベートな関係へと発展させられるのでは?」ということ。個人的な付き合いになることはない、と最初に話してあげてください。何かあった場合は会社として対処すると確約してあげることも必要です。もちろん、若い女性が接待要員となる時だって、同じ。何よりも懸念するのは、そんなことで、きっと件のイケメン社員もそうなのではないでしょうか?

 その線引きが曖昧だからこそ、参加させられる若手社員たちは不安に陥るのです。あくまでも業務の一環として認識させ、安心させてあげることが何よりも必要だと思うのです。

 話は少し変わりますが、これを機会に接待の在り方を考え直してみるのもいいかもしれません。今回はイケメン君が気に入られているということが分かっているようでしたので、ナイスな人選だと思います。でも、場合によっては、癒し系のオジサンが求められていることだってあるかも。あまりワンパターンに考えず、自分の会社をアピールすることを念頭において、人選するのがよさそうです。

 このマッチングがうまくいけば、貴女の会社の人材の豊富さを知ってもらえるチャンスにだってなります。気安いけれど、いつも会っているメンツより、新しい人が入れば話が弾む可能性は多いにあるわけですし。とはいえ、接待ですから、あまり関係のない部署の人を引っ張ってくるのはおかしいので、ほどほどに。

人と人が出会うときに生まれる化学反応

 そういえば、昔こんなことがありました。ボクには大好きなイラストレーターさんがいて、以前勤めていた会社でそのことを何気なく話していました。たまたま当時の会社でその方を囲む会を催したのですが、ほぼ接点のないボクもファンを公言していたことで、ついでにお呼ばれすることになったんです。

 初めは恐縮していたのですが、お酒の力も手伝っておそるおそる話しかけてみました。「昔、○○○という媒体で、こんな連載をしていましたよね。あれ大好きでした!」と話したら、気に入ってくださったのか、その後も「藤村君もまた一緒に」とおっしゃってくださるように。特に接待というわけではありませんでしたが、それなりに面白い人選だったのでしょう。

 このような人と人の化学反応は、いつどこで、どんなきっかけで起こるか分かりません。先方のことをある程度知った上での接待でしょうから、趣味などは把握しているはず。そもそも、イケメン君のことを気に入っているということが分かっているくらいですしね。

 トライアスロンの趣味が一緒だとか、同じ県出身だとか、そんな共通項を持つ要員を連れて行くのも効果的でしょう。接待をたくさん受けていると、だんだん義務のようになってきます。そんな中で、わざとらしくなく、面白い趣向を凝らした会があれば、話題のお店や高額な料理よりもずっと印象に残るはず。

 最近はいわゆる“飲みニケーション”は否定されがち。無理強いはいけませんが、とはいえ、接待や会食などは当面なくなりそうにもありません。それならば、楽しく、そして有意義な時間を過ごす工夫をしてみると、新しい局面を迎えることができるのかもしれませんね。

文/藤村岳 写真/PIXTA

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