趣味を仕事にしたことで、「誰かの役に立てている」と実感

充実感も得ることができました。写真はイメージ (C)PIXTA
充実感も得ることができました。写真はイメージ (C)PIXTA

――保育士と講師の兼業がスタートしてからは、どのようなスケジュールで働いていたのでしょうか。また、講師としてどのくらいの収入を得ていましたか?

 「午前中は保育士として働き、午後からは講師の仕事というスケジュールです。保育士の仕事が終わってから、曜日ごとに違う教室で教えたり、生徒さんの家へ出張レッスンに行ったりしていました。ピアノ講師としての月収は、歩合制で確か10万円弱くらいだったと思います」

――趣味を仕事にしたことで、心境や生活にどのような変化がありましたか?

 「生徒から講師へ、『習う側』から『教える側』になり、音楽に対する知識や経験がさらに増えました。約30年間、趣味で続けてきたことが生かされて、自分の経験をもとに、生徒一人一人に合わせたレッスンができたとも思います。

 生徒から『先生だから通いたい』と言われると、『私も誰かの役に立っているんだな』と思えて、自信につながりましたね。

 ただ、自分の練習時間を確保できなくなり、自分のためのレッスンにも通えなくなったのは、正直残念だなと思いましたが……」

――現在は兼業をやめて、事務の仕事を主軸に働いているそうですが、今後はピアノ講師の仕事とのバランスをどう取っていきたいですか?

 「収入面や生活面のことを総合的に考えると、やはり兼業がいつまでもできるとは思えませんでした。だから講師の仕事は泣く泣くやめて、今の事務の仕事に就いたんです。

 ただ、以前 講師として所属していた会社から、『今の仕事を退職される場合は連絡をください』と言われているので、少し生活に余裕ができたら、もう少し講師の仕事を増やしていきたいという気持ちもあります。

 今の事務の仕事は契約社員で、長くとも5年までしか延長ができない契約なので、次の転職先を考えながら仕事をしている状態です。講師の仕事を本格的にするかどうかは未定ですが、将来的には正社員として安定した仕事に就きたいので、これまでの経験や資格を生かせる職場を探しているところです」

――今後は、仕事以外の「オフ時間」をどのように使っていきたいですか?

 「現在はPCの資格のための教室に通っていますが、今後は保育関係の仕事にも携わっていきたいので、保育関連の資格の勉強もしていきたいです。

 あとは編み物をしたり、ハンドメード作品を作ったりするなど、趣味を楽しむ時間として使っていきたいと思っています。

 老後のための貯金などができていたら、今よりも安心して生活ができていると思うので、お金や貯金のことについても考えていきたいです」

――オフ時間を趣味やスキルアップの時間として上手に使うことで、自分にとってベストな働き方を追求しているんですね。では10年後は、どういう自分になっていたいですか? 目指す姿を教えてください。

 「結婚の予定がないので、安定した職に就いていたいです。そして困っている人や、自分を必要としてくれる人のために働きたいと思っています」

文/青野梢 写真/PIXTA