変化に任せた「流されキャリア」はアリかナシか?

 キャリアについてのお話を、もう一つしておきましょう。「キャリアデザイン」という言葉がありますが、これは自分でキャリアを描くということ。目標を持ったり、やりたい仕事を見つけたり、それを手に入れるために勉強したりといったことが挙げられます。一方で、自分の力でコントロールできないことがキャリアに影響する場合もあるもの。例えば担当替えや異動、昇格、リストラなどで、これらが起きたら、受け入れるか辞めるかを選択することとなります。

流されることは悪くない! その理由とは…?

 こうしたキャリアデザインの対極にあるものを、キャリアドリフトと呼びます。キャリア研究の権威、神戸大学大学院経営学研究科教授の金井壽宏(としひろ)氏が提唱するキャリア理論の一つで、「ドリフト」には「流される」という意味があるそうです。そんな「流されキャリア」は一見、好ましくないように思われがちですが、実はとても大切なもの。ここには、自分では気付かなかった強みが隠れていることが多いんです。(参考:「働くひとのためのキャリア・デザイン」金井壽宏著、PHP研究所)

 前述した私の経験談も、この「流されキャリア」に当たるもの。異動で人事部へ行き、社員研修の裏方事務やインストラクターを任されたことが、今の仕事につながっているのです。要するにお伝えしたいのは、変化を受け入れればチャンスにつながるということ。変化には苦労が伴いますが、新しい仕事を覚えたり、人間関係を広げたりもできます。

 「私にはできない」と思い込まず、「よく分からないけれど、頑張ってみたいです。やらせてください」と言える人になってください。そうやって潜在能力が発揮できれば、毎日の仕事はもっと楽しくなり、あなたの存在価値もグンと上がります。ブランド化を実現するためにも、ぜひ変化を受け入れてチャンスをモノにしましょう!

自分をブランド化するポイント

◆信頼できるメンターを見つけよう
◆入社してからの経験は、すべて大切な財産
◆「流されキャリア」はアリ! 変化を受け入れて挑戦を

やる子 「そうか! 自分の意思だけじゃなくて、流されることも時には必要なんですね。何か、目の前のモヤが晴れた気分」

ひよ子 「環境が変わると不安だけど、キャリアにつながるって考えたらちょっと楽しみにもなりますね」

すずまり姉さん 「しょーゆーこと! あ~たたち、まだまだ若いんだから、そういうときは恐れずにドーンと飛び込みなはれ」

やる子 「肝に銘じます! ……で、すずまり姉さんの恋バナは?」

すずまり姉さん 「あー、それね。だから、6月がターニングポイントだったわけよ。ずっと前からすてきな人だって思ってたけど、あの時にほれ直したっていうか」

ひよ子 「キャッ! 何かドキドキします。それでそれで?」

すずまり姉さん 「で、しばらくはよく会えてたんだけど、最近はすっかりご無沙汰で……。仕方ないから、このハズキルーペをかけて気を紛らわしているわ。ちなみに新色のルビーカラーよ」

やる子 「何でハズキルーペ? その人にもらったとか?」

すずまり姉さん 「あらやだ、やる子ったら! あのCM見たことないの? 私なんて彼が『ハズキルーペ、好きだな』って言うたび、ドキドキしちゃうってのに」

ひよ子 「部長、それ……。もしかして舘ひろしさんのことですか?」

すずまり姉さん 「当たり前田のクラッカーよ。何だと思ってたの?」

やる子 「だって、6月に会ったって……」

すずまり姉さん 「ええ、主演した映画『終わった人』の公開が6月だったからスクリーンで会ったけど、それが何か? 彼にスクリーン越しに見つめられると、まるで目が合ったみたいで幸せだったわ」

やる子ひよ子 「中学生か!」

 肩を落としながらツッコミを入れるやる子&ひよ子を横目に、「DVD買おうかしら」と浮かれるすずまり姉さん。最終回でも、やっぱりいつも通りかしましい3人なのでした。それでは、またお会いできる日を楽しみに。

すずまり姉さんやる子ひよ子 「皆様ごきげんよう!」

文/石川由紀子 キャラクターイラスト/小迎裕美子 写真/PIXTA