終身雇用なんて、今は昔。よりよい職場を求めての転職は当たり前の昨今ですが、退職に当たって何をどうすればいいのか分からない人も意外と多いようです。辞意を伝えるのはいつまで? やっておくべきことは? 有休は消化していいの? 辞めるからこそ、隣の先輩に聞くこともできないし……。ああ、もう、分からないことはすずまり姉さんに聞くしかない!


(登場人物)

すずまり姉さん(45歳)ひよ子(24歳)やる子(32歳)
左:すずまり姉さん(45歳)/広報部長。社内を練り歩き、各部署の情報を巧みに収集しながら仕事術のレクチャーも行う。過去に数多の過ちをやらかした経験からミス、ムダ、残業を忌み嫌っている。

中:ひよ子(24歳)/入社2年目、やる子の後輩。女性活躍の追い風でキャリア意識が高く、やる気はあるものの失敗も多い。女子力高めのふんわりキャラだが若干不安定。悩んでは落ち込みを繰り返す。

右:やる子(32歳)/1年の間、すずまり姉さんの愛のムチを受けた結果、めでたくチームリーダーに昇進。しっかり者だが、中堅どころならではの悩みも多い。最近はキャリアに目覚め、日々精進中。

転職先がめでたく決定! さて、今の会社にはどう伝えればいい?

 営業部とのミーティングを終え、デスクへと戻ってきたひよ子。パソコンの画面を見つめながら物思いにふけるその様子に、やる子は心配そうな表情で声を掛けます。

やる子 「ひよ子ちゃん、ミーティングで何かあった? また営業部長に絡まれたとか……?」

ひよ子 「あ、やる子先輩、お疲れさまです。いえ、そんなんじゃないんですけど……。そうだ、先輩、会社を辞める時って、どうすればいいんでしょう?」

やる子 「えぇっ! ひよ子ちゃん、辞めるの? やっぱり営業部長が……。おのれ、許すまじ!」

 怒りに我を忘れ、思わず声を上げるやる子。そんな彼女の雄たけびをBGMに、カツカツカツ! とヒールの音でリズムを乗せて来たのは、お待ちかねのすずまり姉さんです。

すずまり姉さん 「ああもう、やる子ったら何を叫んでいるの? 思わずセッションしちゃったじゃない」

やる子 「すずまり姉さん、お疲れさまです。だって、ひよ子ちゃんが会社辞めるって言うから、もう動揺しまくっちゃって……」

すずまり姉さん 「あらやだ、ひよ子ちゃん、辞めちゃうの? 原因は営業部長とモメたとか?」

ひよ子 「すずまり部長まで、そんなこと言わないでください。違うんですよ、やる子先輩の早とちりで。辞めたいって言っているのは私の友達なんですが、辞め方がよく分からないみたいで」

やる子 「あぁ、そうなんだ。よかった……。でも、確かに辞める時ってどうすればいいのか、私も分からないや。上司に伝えればいいのかな」

すずまり姉さん 「最近は転職も当たり前なのに、あ~たたち、意外と知らないのね。今のところ、転職の意思はないってことかしら。ま、会社としては優秀な人材に残ってもらえたらうれしいだろうけど。んじゃ、取りあえず、ひよ子ちゃんのお友達のために、退職マナーをお伝えしようかね」

やる子 「姉さん、今、優秀な人材って言いました? それって私のこと? ねえねえ? エヘヘ」

ひよ子 「やる子先輩、喜び過ぎです。部長のお話が始まるから、ちょっと静かにしてください」

やる子 「うっ、すみません……」

辞めるって誰から言えばいいんだったっけ…… (C)PIXTA
辞めるって誰から言えばいいんだったっけ…… (C)PIXTA