社会に出て以来、繰り返し行っているのが名刺交換。もはや習慣となっている行為ですが、意外と間違った方法で覚えている人も少なくないようです。ビジネスパーソンにとって、名刺は欠かすことができないツール。自分はマナー違反をしていないか、すずまり姉さんのレクチャーの下でいま一度、振り返ってみましょう。


(登場人物)

すずまり姉さん(45歳)ひよ子(24歳)やる子(32歳)
左:すずまり姉さん(45歳)/広報部長。社内を練り歩き、各部署の情報を巧みに収集しながら仕事術のレクチャーも行う。過去に数多の過ちをやらかした経験からミス、ムダ、残業を忌み嫌っている。

中:ひよ子(24歳)/入社2年目、やる子の後輩。女性活躍の追い風でキャリア意識が高く、やる気はあるものの失敗も多い。女子力高めのふんわりキャラだが若干不安定。悩んでは落ち込みを繰り返す。

右:やる子(32歳)/1年の間、すずまり姉さんの愛のムチを受けた結果、めでたくチームリーダーに昇進。しっかり者だが、中堅どころならではの悩みも多い。最近はキャリアに目覚め、日々精進中。

上司の前? それとも後? 名刺交換の順番が分からない!

 残暑厳しい9月の初頭、ランチミーティングから戻ってきたすずまり姉さん。ヒールの音をカツカツと鳴らしつつ、日経YARUKI 社ビルのエレベーターホールまでやって来ます。

すずまり姉さん 「もー、まだまだ暑いわね。これってやっぱり、残暑ざ~んしょ。なんつって」

 誰に聞かせるでもなくつぶやいてニヤリとした瞬間、取引先の挨拶回りを終えたやる子とひよ子に出会います。二人の間には、心なしか険悪なムードが漂っていて……。

すずまり姉さん 「あら、お二方、お疲れちゃーん。どうも元気がないけれど、さては残暑のせいざんしょ?」

やる子 「あ、すずまり姉さん、ランチですか? お疲れさまです」

ひよ子 「部長、お疲れさまです」

すずまり姉さん 「……あ~たたち、ギャグのスルーがうまくなったわね……。それはさておき、お疲れ気味なのは暑さのせいじゃないみたいだけど、一体どしたの?」

やる子 「それがですね、今、課長と三人で取引先を回ってきたんですけど、名刺交換の時、ひよ子ちゃんが真っ先に先方と挨拶を始めちゃったんです」

ひよ子 「やる子先輩に注意されるまで、挨拶は上司から始めるってことを知らなくて……。反省してます……」

すずまり姉さん 「あらま。でも、一度失敗したらもう忘れないでしょ。課長も先方も、張り切り過ぎてたからって思ってくれるんでない?」

ひよ子 「でも、それだけじゃないんです。自分の挨拶が終わったらすぐに座ったんですけど、これもマナー違反だって課長に言われて」

やる子 「座った途端、お茶までゴクゴク飲んでたもんね。課長が名刺交換している横で……」

すずまり姉さん 「……相変わらずの天然っぷりね……。しかし、このままじゃダメダメですなぁ。よし、一度、名刺マナーをおさらいしてみましょっか」

ひよ子 「わ、ありがとうございます! よろしくお願いします」

やる子 「よかったね、ひよ子ちゃん。ちゃんと習得してね!」

すずまり姉さん 「いやいや、お姉さん風吹かせてないで、あ~たも参加するのよ、やる子」

やる子 「ですよね~」

名刺交換のときに感じた好印象って、その後にも影響する気がします (C)PIXTA
名刺交換のときに感じた好印象って、その後にも影響する気がします (C)PIXTA