集中力を持続させる上でも大切な休憩時間

 「早く終わらせたいから、休憩時間は返上」という人もいます。でも、「労働生産性」の数式で言うインプット(労働時間)は減らすべきなのに、逆に増やしてしまうのは考えもの。

 また、休憩時間を挟めば、仕事の効率はより向上させられると思います。なぜなら、人の集中力が続く時間には限りがあるから。一般的にも、人の集中力が続く時間は長くて90分といわれるので、もし、就業時間が9時~17時の場合、少なくとも午前中に1回、ランチタイムを挟んで13時~17時の中で3回の休憩が必要です。人は機械ではありません。緊張感を保ったまま休みなく働いていては、ミスが増えて効率が悪くなるだけと考え、10~15分程度の適度な休憩時間を設けるようにしましょう。

10分だけでも休憩したら、集中力が上がります (C)PIXTA
10分だけでも休憩したら、集中力が上がります (C)PIXTA

パソコンの前から離れることも大切。休憩時間の過ごし方

 仕事の手を休めてネットサーフィンをして何となく休んだ気になっていても、パソコンの前にいると休息を取るのは難しいでしょう。画面から一度、目を離すのがオススメです。トイレに立ったり、自動販売機にドリンクを買いに行ったりして気分転換を図ってください。デスクで飲食をする場合は、こぼして書類を汚す可能性もあるので、できれば避けたいところ。どうしてもデスクで、という場合は、こぼれにくいマグカップを使う、ペットボトルのフタは都度閉める、といった対策をお忘れなく。

 この他、同僚や上司とお茶を飲んだり、おしゃべりをしたりして過ごすのもいいでしょう。職場の飲み会などが減っている昨今は、人間関係が希薄になりがちともいわれますが、休憩時間にコミュニケーションを取れば互いの理解が深まるはず。「飲みにケーション」をせずとも、定時内に自然なコミュニケーションを取れば結束力を高めることはできるのです。

「労働生産性」を高めるポイント

◆インプット(労働時間)を減らし、アウトプット(成果)を増やす
◆時間対効果を考え、自分の時給を意識して働く
◆「労働生産性」は短いタームで確認を
◆休憩時間を減らすのはかえって非効率
◆パソコンの前から離れて休憩しよう

やる子 「インプットが増える一方みたいですね、私……。休憩時間も、会社にいる時間が一緒なら減らしたほうが早く終わる気がしていました。そう思うと、ひよ子ちゃんはおいしそうなお菓子食べたりして、いつも上手に息抜きできてるなぁ」

ひよ子 「えっ、先輩、結構見てるんですね。これからは気を付けなくちゃ」

すずまり姉さん 「いいのよ、上手に休んでいるってのは、褒め言葉なんだから。やる子もちゃんと見習いなはれ。ずっとパソコンの前にいるくらいなら、社内でイケメン探しでもしたほうがよっぽどいい休憩になるわよ」

ひよ子 「それ、アリかもしれないですね! すてきなオジサマ探しも!」

すずまり姉さん 「そうなのよ、ひよ子ちゃん。オジサマはオジサマで、またいろんな楽しみ方があるよね。普段、無口な人がニコニコしてスイーツ頬張っていたらかわいいでしょ?」

やる子 「出た! すずまり姉さんのオジサマ好き」

すずまり姉さん 「二人も今度、かわいいオジサマを愛でてみてね」

やる子 「……マニアック過ぎて、ちょっとよく分かんないです」

 オジサマ好きのすずまり姉さんとひよ子ちゃんの会話になんとか付いていきつつも、仕事と全く関係のない話をしたことで、なんだか少しリフレッシュできたやる子。この後、生産性がうんと上がり、あっという間に仕事が終わったのでした。

文/石川由紀子 キャラクターイラスト/小迎裕美子 写真/PIXTA