報告すべきミスをリスト化し、チームで共有を

 「ミスをしたら報告を」と伝えても、何がミスかの認識にギャップがあるかもしれません。ミスの内容やどう報告するかもリストにしておくと、指導がラクになるだけでなく、ミスのフローが明確になってリカバリーしやすくなりますよ。下の表に記載したのは、飲食店で起こり得るミスの例。もし、こんなミスをしたとしても、上司に報告してうまくフォローしてもらえれば、客のイライラも抑えられるはずです。

いつ 誰に報告 どのように いつまでに
テーブルで食べ物や飲み物をこぼしたとき
※たとえお客様が「結構です」と言っても
店長(不在なら↓)
副店長(不在なら↓)
リーダー
口頭で
※メールは×
すぐに
※遅くともお客様が帰る前

 実は、こちらのリストを思い付いたのは、近所の中華料理屋さんで起きた出来事がきっかけでした。アルバイトの学生らしき店員さんがビールを運んできた時、誤って私のビジネスバッグにこぼしてしまったんです。店員さんが謝るので「いいですよ」と言ったところ、お会計する時、店長がレジにいたのにフォローが一言もなくて……。「もしやアルバイトはミスを隠したの?」「このお店ってミスしたら報告するように指導していないの?」などと思わず勘ぐってしまいました。

 別の中華料理店で、アルバイトらしき若い店員さんが、私の新調したてのスーツに飲み物をこぼしたことがありました。「お気になさらず」と言ったところ、食後さりげなく店長さんが杏仁豆腐を人数分サービスで持ってきて、小さな声で謝ってくれたのです。こぼした店員さんはミスを速やかに店長に報告したのだと思います。店長が改めて謝罪をする、しかも、小さな声で。大きな声だとまるで私がクレーマーのようで恥ずかしいですから。この配慮がとてもスマートだなぁと感動しました。

「報・連・相」のポイント

◆いつ、どんな「報・連・相」が欲しいのか、共通認識を持つ
◆報告はタイミングを見極めて、簡潔に
◆仕事の3割が済んだら中間報告を
◆ミスはすぐに報告!
◆ミスに対しても共有化できるリストを作ろう

ひよ子 「中間報告は3割くらい終わったら、ですね。ありがとうございます! こういう目安が欲しかったんです」

やる子 「いつも分かりづらい指導でごめんなさい。3割かぁ、確かにそれなら何かあっても取り返せそう。しかし姉さん、こういうノウハウって、どうやって身に付けるんですか?」

すずまり姉さん 「もちろん、身をもって、よ。前に依頼があって寄稿したとき、全部のページで3行足りないって言われて丸ごと書き直したことがあったから、まとめて原稿を送るのをやめて、最初に1ページ分だけ送るようにしているの。同じミスを繰り返さないために、依頼を受けたら前に書いた人の原稿や、入力フォーマットをもらったりもするし」

ひよ子 「なるほど! ミスも含めて、経験はすべて宝になるんですね」

すずまり姉さん 「あら、ひよ子ちゃんたら、いいこと言うじゃない。そう、宝になるのよ。だから二人もミスったときは落ち込むだけで終わらせずに、対応策まで考えて成長の糧にしてちょんまげ」

やる子 「はい! でも姉さん、その文字量が足りないミスって、先方の担当者が姉さん好みのオジサマだったから、打ち合わせに身が入ってなくて起こったんじゃないですか?」

すずまり姉さん 「あら、やる子ったら、嫌なこと言うじゃない……。ま、おっしゃる通りなんだけどね」

やる子 「やはり!」

ひよ子 「えっ、すずまり部長って、オジサマ好きなんですか。実は私もそうなんです!」

すずまり姉さんやる子 「な、なんですとー!」

 相変わらず爆弾発言のひよ子と、驚愕(きょうがく)するすずまり姉さん&やる子。この先、オジサマフィーバーが起こりかねない状況に、やる子は果たしてついていけるのでしょうか……。

文/石川由紀子 キャラクターイラスト/小迎裕美子 写真/PIXTA