分かりやすい指示出し、基本の「6W3H」って何のこと?

 指示出しをする際、分かりにくかったり、内容がコロコロ変わったりすると、部下や後輩たちは混乱するもの。繰り返すうちに彼らの不満はたまり、いずれはモチベーション低下につながる可能性もあります。こうした状況を避けるために、的確な指示出しのための「6W3H」を知っておきましょう。

1.When(いつ、いつまでに)

 「○月○日の○時まで」など、日付や時間は数字にして伝えましょう。「なる早で」「来週いっぱい」などの曖昧な言い方は人によって解釈が異なることもあり、納期遅延につながります。

 また、ムリのない期限を設定することも大切。段取りのよい人の指示は「至急」が少ないものです。全体スケジュールを把握して早め早めに段取りを組み、品質を高めるためにも余裕を持った締め切りを設定してください。

「じゃ、6月6日水曜日までに、この資料を完成させてね」 (C)PIXTA
「じゃ、6月6日水曜日までに、この資料を完成させてね」 (C)PIXTA

2.Where(どこで、どこに)

 資料を送るといった指示内容なら、場所の指定も必要。特に待ち合わせのときなどは、分かりやすい場所を指定しましょう。

3.Who(誰が)

 「誰かやっておいて」と指示しても、誰も処理してはくれません。「○○さん」と名前を呼んで、「あなたに任せる」ことをハッキリと伝えてください。

4.Whom(誰に)

 例えば資料送付の際、「どこの会社か(Where)」だけでは誤った人に送ってしまう可能性もあります。以前、聞いたことがあるのは、社長に送るべき機密情報を顔なじみの担当者に送ってしまったエピソード。

 上司からは「A社に書類を送っておいて」としか言われなかったので、指示を受けた部下は「いつもの人」に送ったのです。当然、A社の社長は激怒し、契約打ち切りになってしまったとか。大きなミスにもつながりかねないので、「△△部署の○○さん宛て」など、きちんと伝えるようにしてください。

5.What(何を)

 何をするのかを明確に伝えましょう。このとき、「できるところまででいいんだけど……」と遠慮したり、曖昧に言ったりすると混乱するので要注意。また、「何を」とセットで伝えてほしいのが、「どこまで」です。何をもって完成なのか、どんなゴールのイメージなのかを共有すると、指示を受ける側も迷わずに取り掛かれます。

6.Why(なぜ、何のために)

 ただ「送っておいて」「コピーして」だけでは、やる気をなくしてしまうもの。指示をするときは、その仕事の目的や全体像も伝えるようにしてください。「目的」に加え、「重要度」や「指名する理由」を含めた3つの「なぜ」を伝えるのもオススメ。「社外秘の情報だから、ミスのないあなたにお願いしたい」などと伝えると、受け手側のモチベーションもアップします。

How(どのように)、How much(いくら)、How many(いくつ)

 「3H」となるのがこちら。資料送付なら、「○○運輸の宅配を使って、コスト○○円で原本を1通送る」といったかたちです。なお、仕事のプロセスを伝える場合の「How」は、指示を受ける側の経験やスキルによってアレンジしたいところ。新人には事細かにやり方を教える必要がありますが、経験者に対してなら省いてもいいでしょう。ベテラン相手には「自分で考えて」と任せれば、考える力がつく上に達成感を味わってもらえます。

もう一つの「W」、「Write(書く)」も実践を

 指示出しの際の習慣にしていただきたいのが、書く=メモを取ること。指示を受ける側に指導するのはもちろん、出す側も指示した内容や期限などを書くようにしましょう。そうすれば進捗管理やアドバイスもできますし、「最初の指示と違う」といったブレもなくなります。指示したことを忘れてしまう、なんてもっての外。記憶に頼るのではなく、きちんと記録してください。

はい、そこ、メモですよー (C)PIXTA
はい、そこ、メモですよー (C)PIXTA