1年後の成長を見越して計画的に、「自律型社員」を育てよう

 新人が一人でも入れば「教える」という仕事が必ず増えます。特に大変なのは、右も左も分からない新卒者の場合。最近は離職率を減らす意味もあって、手厚く指導する企業が増えています。

人材育成の手法の一つ、OJTで自律型社員を育てよう

 人材育成には、職場外教育の「Off-JT」、職場内教育の「OJT」、そして「自己啓発」という3つの手法があります。このうち、後輩指導が当てはまるのは「OJT=On the job Traning」。目指すのは「自律型社員」を育てることです。「自立」ではなく「自律」、つまり自分を律することができる社員。自分で考えて行動できるようになると、「人材」から「人財」へと価値が上がります。

 こうした社員が増えれば生産性が高まるため、チームのみんなが助かりますよね。一時的に手が掛かったとしても、きっちり教えておけば早いうちから戦力となるのもうれしいところ。指示を待つだけ、あるいはマニュアル通りにしか仕事ができなかったり、言われたことしかしなかったりといった人は、企業から望まれることはありません。

ポイントは5つ!「自律型社員」を育てるOJTに必要なこと

 「自律型社員」を育てる際は、気を付けたいことが5つあります。

1.OJTを始める前に「指導計画」を立てる

 まずは1年後、後輩がどのように成長していてほしいのかを想像しましょう。そして実際に成長するには、いつまでに、何をどこまでできていればよいのか計画を立てます。

2.分担して指導を進めていく

 後輩の指導を一人で抱えていると、通常業務が滞ってしまいがち。「何もかもマンツーマンで教えなきゃいけない」と一人で抱え込まないで。チームのみんなで育てればよいのです。あなたがチーム内で割り振りを決め、上司に報告した上で実践しましょう。毎日1人当たり60分ずつ指導する時間を取るなど、分散させることが大切です。

3.後輩に日報を書いてもらう

 教える側がトップダウンにならないよう、後輩のメッセージを聞くことも大切です。そこで、日報や進捗を書いてもらい、理解度をチェックしたり、悩みを打ち明けたりしてもらいやすい環境をつくりましょう。報告書といっても、ノート一冊を用意するだけ。後輩に渡し、「1日1~3行だけ書けばOK」と伝えてください。ラクじゃないとと長続きしませんから。1年間やってみると、変化を感じられるはずです。

4.価値観の違いを受け入れる

 以前、日本経済新聞の記事で「先輩と新人、お互いのここが気になる! 何でもランキング」という記事がありました(次ページ参照)。