会社の業務命令として、親に感謝の言葉を述べ、プレゼントを贈ることを義務付ける「親孝行制度」。12年ほど前からこの制度を導入しているエムケーコンサルティンググループは、33年連続増収を続ける優良企業として業界の内外から注目されています。会社が社員に親孝行を促す制度を始めたねらいと成果について、同社専務取締役の吉田由美子さんに聞きました。

――「親孝行制度」はいつ、何がきっかけで導入されたのでしょうか?

 当社は創業以来、「良い取り組みはどんどん真似よう」という社長の旗振りのもと、他社の事例研究も積極的に行ってきました。

 親孝行制度を導入するきっかけとなったのは、12年ほど前、経営者の勉強会で、東日本ハウス創設者の中村功先生が提唱されていた「ビジネスの神髄は親孝行にあり」という考えに出会ったことがきっかけでした。いわく、「親孝行もできない人間は、お客様に尽くすこともできない。親孝行を通じて人に感謝されるということは、自分の喜び。人に尽くすということは、実は己の喜びであることを知る」と。まさにそうだと膝を打ち、当社でもやってみようということになりました。

 最初はおそるおそるで、試行錯誤も繰り返し、現在の方式ができあがってきました。

エムケーコンサルティンググループ 専務取締役 吉田由美子さん
エムケーコンサルティンググループ 専務取締役 吉田由美子さん

――親孝行は自発的にするもの、というイメージがありますが、なぜ会社が促すのでしょうか?

 もちろん、全員が自発的にできるのでしたら会社が介入する必要もありません。しかし、わかっていてもなかなかできないのが親孝行ではないでしょうか。そして昔から「孝行したいときに親はいない」とも言われます。

 入社3年目までの社員、特に新入社員に義務付けているのは、社会人になったばかりのタイミングで「これからは人様にお返ししていく」という心構えを確認してもらいたいからです。同時に、「お客様に尽くすこと=感謝の第一歩」として、まずは社会人になるまでお世話になった親への感謝を伝える機会をもってほしいというのが、この制度のねらいです。

 この制度の意味についての考えは人それぞれだと思いますし、会社が強制するものでもないと思います。要は「機会をつくる」ことに意味があると考えているのです。