社員の評価はほぼ一致する

――部下が上司の評価をすることにもなりますね。上司だから、仲が良いから、と気を使ってしまうことはないのでしょうか?

 それはありませんね。上司であっても、自分に対する評価は見ることができないので、みんな正直に記入していると思います。そうした社員たちの姿勢は、制度を始めたときから変わりません。余計な手間がかからない、「金額を記入する」というシンプルな方法なのもよかったのだと思います。

3C評価シートの一部(サンプル)
3C評価シートの一部(サンプル)

――上がってきた評価をご覧になって、いかがですか?

 いつもほれぼれしてしまいます。本当にその通りだな、と。面白いもので、社員たちの評価はほぼ一致しているのです。学校で、「一番頑張っている子は誰?」「一番サボっているのは誰?」と生徒に聞くと、だいたい一致しますよね。それと同じだと思います。毎日一緒に過ごしていれば、その人がどんな姿勢でいるかは自然と目に入ってくるものなんですよね。

――3C制度によって、社内にはどんな変化がありましたか?

 何年もかけて、今ようやく根付いてきた風土なのですが、社員が自分をアピールするようになりました。エンジニアは傾向として、ものすごい技術を持っていても自分だけで楽しんで満足する、となりがちなんです。しかし、3C制度を始めたことによって、「皆に知ってもらう」ことが評価に直結しました。ですから、その人の中にしまってあったものがどんどん外に出てくるようになりましたね。そうした共有は会社の財産になりますから、本当にうれしい変化です。

 それから、意外な変化だったのが、プレゼン技術の向上です。週に一度、「朝ブリーフィング」という全社会議で、各自のプレゼンを行っているのですが、年々その場がよくなってきています。強制されているわけではなく、自分で手を挙げて発表しているので熱が入りますし、技術も伝え方もどんどんうまくなっています。

 ただ、アピールやプレゼンが下手でもきちんと評価されるのが、3C制度のいいところなんです。もちろんプレゼンは大切な機会ですが、社員同士が一年間ずっと仕事ぶりを見ている。そうした日ごろの評価があってのプレゼンです。たとえ拙い発表だったとしても、熱があれば社員はきちんと評価してくれます。