「宝くじが当たったらいいのになあ」と思っている人、多いですよね。大金が手に入ったら何をしよう? とワクワクしてきそうですが、今回は父の急死で突然死亡保険金を手にした女性のお話です。どれだけお金が欲しいと思っている人でも、急に多額のお金を目の前にして気持ちが大きくなると、あらぬ使い方をしてしまうことも……? そして今回は最終回。FPの高山さんが読者に伝えたいメッセージとは?

前原あかりさん(仮名) 38歳→46歳 中小企業OL
企業OL
年収400万円 一人暮らし
長所 楽観的
短所 深く考えない

3000万円の保険金が、8年で1000万円減…

 「どこかからお金が降ってこないかなあ」と夢見る女子は多いのではないでしょうか(私もそうです!)。私のところにやって来たお客様のなかには、宝クジに当たった人や、遺産を受け取った人など、突然降って湧いた大金をどうしたらいいの? と相談なさる方もちらほら。とはいえ、「貯め方」よりも「使い方」のほうが難しいのかもしれません。今回の相談者であるあかりさんは、突然の大金に右往左往して悩んでいる女性でした。

 あかりさんが私のところにやってきた発端は、数カ月前にあかりさんのお父様が突然亡くなったことでした。既にお母様は他界しており、両親の死という不幸にはいたく嘆きましたが、幸いお父様は残された娘のためにきちんと死亡保険を掛けていました。死亡保険金の額は3000万円。あかりさんに何かあっても、すぐには困らない金額でしょう。ただ、あかりさんは困惑してしまいました。今までこんなに大きなお金を持ったことがなかったからです。

 彼女は3000万円の保険金の受け取りの際、ある銀行に出向いたのだそう。その時、「資産運用もしておいたほうがいいですよ」と銀行員に言われ、1000万円分、おすすめの商品を一通り買ったのでした。

 銀行の勧めでお金を投じたのは、すべて投資信託。その中身は毎月分配型、通貨選択型、テーマ型、新興国ハイリスク型など、実は値動きの激しいものばかり。しかも手数料もかなり高めです。うーん、どうも初心者には向いていない商品のようですね……。

 「銀行の人が言うから間違いない」と盲信してはいけません。誰が勧めていようと、自分で必ず中身を調べて選ばなければなりません。金融庁が今年6月に公表した資料によると、銀行が販売している投資信託を購入している人のうち、46%の人が元本割れしているそうですからね。

 それで私は、「まず全部の投資信託を解約して、あれとこれとそれに買い替えてくださいね」と話し、その日の相談は終わりました。あかりさんはその後訪れることはなく、てっきり私は問題が解決したと思い込んでいました。

 そして8年の月日が流れ……。

 あかりさんが再度やって来たのです。「現金が残り1000万円なんです! どうしましょう?」