銀行のシェアハウス融資が社会問題になっていますが、不動産投資には危険な話もちらほら……? 今回は、コツコツ貯めてきた資金を元手に、不動産投資を始めた女性のお話です。堅実な女性が不動産投資に飛びついたワケとは? お金のプロ・FP高山さんのアドバイスが光ります!

杉崎孝子さん(仮名) 42歳 大手金融機関の総合職
年収800万円 一人暮らし
長所 仕事ができる
短所 ほれっぽい

イケメン営業のわな…「この物件、大丈夫ですよね?」

 最近は女子向けの不動産投資セミナーも盛況だそう。老後の生活を考えると、毎月家賃が入ってくる不動産投資の魅力は確かにあります。ただ、投資というのは何でもそうですが、勉強をしっかりやらないと痛い目を見ることも多いものです。特に不動産投資は金額が大きいので、悪い人たちもいたりして……。

 さて今回は、そんな不動産投資を始めようとしている孝子さんのお話です。孝子さんは大手金融機関に総合職として勤めるバリキャリで、頭の切れる優秀な女性です。貯蓄も既に6000万円あり、独身で一人暮らしとはいえ、将来も安泰かと思われます。そんな孝子さんのマネー相談の第一声は、「この物件、大丈夫ですよね?」でした。

 不動産投資の契約をした物件について不安になり、ファイナンシャルプランナーにお墨付きをもらいにきたというわけです。しかし……この「物件」がとんでもないクセモノだったのです。

 その物件は新築の投資用マンションで、都内ではあるものの、都心というよりやや郊外に属する駅が最寄りで、そこからさらに徒歩15分の場所にあります。そして、30平米の1DKという一人暮らしには広くも狭くもない物件で、お値段が4200万円。不動産に詳しい人ならピンとくるかもしれません。これ、そもそも相場より高いのです。また、歩いて15分で一人暮らしの物件だと、安さを重視する人が借りることが多いですから、1DKだとかえって中途半端な印象も。孝子さんの契約した物件の周りで売れていたものをその場で調べてみると、相場は2800万円くらいでした。

 続いて、投資を回収するためのプランをチェック。まず、頭金に1000万円近く支払うことになっており、家賃収入は月10万円の見積もりでした。しかしそれだと、その頭金を回収するだけで、単純に計算すると8~9年くらいかかってしまいます。毎月の家賃よりも返済金額のほうが多く、毎月のキャッシュフローはマイナスで、毎月1万円程度の持ち出しです。その他にも、修繕や積立金などの負担もあります。

 また、賃貸物件は空き家リスクもありますし、孝子さんの物件はいつになったらマイナスではなくなるの? というダメダメプランでした。

 そして、実は不動産投資は、どんな物件に投資するかも重要ですが、「頭金を少ない金額で」「低い金利で」「融資金を長く」など、いかに優良な条件で銀行から融資をしてもらうかが重要です。同じ物件に投資するにしても、銀行から融資してもらうローンの金利が3%なのと、1%なのでは大きく違います。これに当てはめてみても「いい物件」とは言いがたいようでした。

 包み隠さず物件の評価を伝えると、孝子さんは真っ青に。「頭の切れる人のはずなのに、どうしてこんな物件を買っちゃったの?」と問うと、きっかけはある不動産投資会社主催のセミナーだったと話し始めました。

 大手金融機関に勤めているため、周りに投資をしている人が多かった孝子さん。そろそろ将来が不安だなと感じた矢先、女性限定の不動産投資セミナーの広告が目に留まり、軽い気持ちで参加したそうです。

 セミナーの内容は一般的でしたが、その後の個別相談が孝子さんにとって大事件に。相談員として現れた男性は、ジャニーズも真っ青な超イケメンだったのです。