「この先、仕事がゼロになるんじゃないか…」

 奈々さんはもともと、東京大学を卒業し、「いつか文芸書の担当をしたい」と大手出版社に新卒で就職したことが編集人生の始まりでした。しかし、配属は女性ファッション誌に。ファッションや美容には無頓着だったため、懸命に勉強してなんとか追いついていったものの、「ダサい」「センスがない」と先輩たちにいびられ続け、耐えられず退職。以来、フリーランスの編集者になったという経緯がありました。

 女性誌経験があったことから、今までずっとその世界で生きてきた奈々さんですが、突然年齢のせいではしごを外されてしまったのです。若返ることはできないですから、自分がいったいこれからどうやって稼いでいけばいいのか、まるで見当がつかなくなってしまい、頭を抱えてしまったというわけです。

 お金の相談というのは、突き詰めると人生相談になるものです。

 フリーランスという生き方を選ぶと、会社員との違いから戸惑うことも多いのかもしれません。例えば、会社員であれば、月々雇用保険を支払っていますから、解雇の場合はもちろん、自己都合退職の場合も失業保険が一定期間国からもらえます。この期間に転職活動をしたり、資格を取ったりする人も多いですよね。しかし、フリーランスは雇用保険に入っていませんので、仕事がなくなれば即無収入になってしまいます。

 奈々さんはなんとなく不安があり貯金はしていたものの、仕事がなくなったときの生計の立て方を全く考えていませんでした。

 奈々さんは半泣きでこう話しました。
 「私、女性誌の編集スキルしかないんです……。これができないなら、もう他にできることはありません……」

 そんなわけはないのでは? と思いましたが、奈々さんはとにかくそれくらい追い詰められていました。

 仕事もでき、頭もいい奈々さんが、「私はダメな人間なんです」と打ちひしがれているなんて、もったいないですよね。きっとこのピンチを切り抜ける、別のやり方があるはずです。

 さて、貯金500万円を生かして起死回生を狙うために、奈々さんにはどんなアドバイスが有効だったでしょうか?